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タイトル ライブラリアン・ラプソディ

25 未知のしらべ ふたたび2022

 夜空に目を凝らす日々は、今年も継続中。「何か不思議な現象はないかしら?」、「アレは飛来しないかしら?」と、未知との遭遇を毎度期待して挑むのだけれど、結果は芳しくない。「あ〜あ、これじゃ大手を振って研究員にはなれないじゃない!」と、夏の夜の夢は儚いのである。

 そんな中、開所から1年をむかえる国際未確認飛行物体研究所、通称UFO研究所が6月25日に、福島市飯野町のUFOふれあい館において活動報告会を開催したとの記事が、翌26日の「福島民友」に掲載された。国内外から寄せられた写真や動画、文書など452件のうち、149件を独自評価規定基準に基づいて分析したとのこと。初代所長であるミステリー月刊誌「ムー」編集長の三上氏は「極めてUFOの可能性が高い」と判定した4件の事例の分析結果を解説したとある。新聞には、UFO研究所のある千貫森(せんがんもり)で撮影された、白い楕円型に広がる雲の右上に浮遊するUFOの写真が掲載されており、極めてUFOの可能性が高い情報の一つとしている。この千貫森はもともとUFOの目撃情報が多い場所であり、磁場の影響か、私がUFOふれあい館を訪れたときも車のナビが正常に機能しなかったと記憶する。「未知との遭遇には場所って大事よね・・・」と、記事の写真を眺めながら独り言ちる夏の午後。

 さて、トラベラーにはマストなアイテム「地球の歩き方」。でも、異世界を歩くには?心配ご無用!『地球の歩き方ムー:異世界(パラレルワールド)の歩き方』があるではないか。これはUFO研究所の所長でもある三上氏が編集長を務める雑誌「ムー」と地球の歩き方がコラボして完成した一冊である。ナスカの地上絵やペトラ遺跡から、アメリカUFOの関連地域や聖母顕現の3大聖地(ちなみにメキシコ・シティ郊外のグアダループなど)、ヘンリー8世の幽霊スポットなど、「ムー」的視点で地球を探索できる優れもの。なんて素敵!地球ってワンダフルワールド!と思うでしょ?永久保存版である。巻末の「旅で使えるエスペラント会話」では、不思議世界を旅するには必須であろう会話例が掲載されていて、例えば‘Saluton’(こんにちは)や‘Mi ne estas vampiro’(私は吸血鬼ではありません)など、大切なフレーズがチョイスされている。

挿絵1
※挿絵はクリックで拡大します。

 『縄文4000年の謎に挑む』(注*)は、福島市にある縄文遺跡である宮畑遺跡(平成27年に史跡公園「じょーもぴあ宮畑」として整備された)をテーマにしたミステリー作品集である。宮畑遺跡の二つの謎−縄文時代晩期の直径90cmの巨大支柱を組んだ掘立柱(ほったてばしら)建物と全国でも例のない焼失住居(土屋根の竪穴住居の約50%が焼かれている)をテーマとしたミステリー小説を一般公募し、「宮畑ミステリー大賞」を設立。「審査基準はただ1つ、面白いかどうか」、「縄文の謎」×「文学賞」というユニークな試みである。最優秀賞に選ばれた「ミヤハタ!タイムスリップ」には、福島銘菓の「ままどおる」やB級グルメの「円盤餃子」、前出の千貫森も登場し福島満載の作品である。

 残念ながら終了してしまった番組「世界はほしいモノにあふれてる」じゃないけれど、世界は私たちが想像する以上に不思議なことに溢れている。それをキャッチするかしないかは、きっと本人のアンテナしだい。ライブラリアンの資質の一つは好奇心よ!と常々思っている私にとって、このアンテナは時には風見鶏のように自らの進むべき道を示してくれるコンパスとなるのだ。さぁ、もう一つのコンパス『地球の歩き方ムー』を抱えて、世界ふしぎ発見!(あれっ、これもとある番組!)の旅にでようではありませんか。Bonan vojagon!


(注*)
『縄文4000年の謎に挑む—福島市“宮畑ミステリー大賞”作品集』じょーもぴあ活用推進協議会編 現代書林、2016

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