
皆様こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?
あっという間に2025年も終わろうとしています。今年はどんな一年だったでしょうか?
毎年12月に公益財団法人日本漢字能力検定協会さんが行う「今年の漢字」、毎年、楽しみに応募しています。これは、その年の世相を漢字一文字で表す、というもので、テレビなどでも出演者が予想する、なんてコーナーもあります。
世相とは別に、私自身の2025年を思い返すと、選ぶ一字は「顧」です。公私ともにいろんな環境が変化し、苦しいことも楽しいこともたくさんありました。そんななか、無意識に「あたりまえ」と思ってしまっていた「こと」や「ひと」を、「大切なこと」「大切なひと」と思い返し、思いを馳せることが多かったように思います。学びなおし、出会いなおし、感謝しながら、2026年を迎えたいと思っています。皆さんの2025年の一文字はどんな漢字ですか??
さあさあ、忙しくなる年末年始ですが、お正月に欠かせないものの一つ、「おもち」をテーマにした絵本を、2回連続でご紹介します!まずは、準備編です。
一冊目に紹介するのは、『ばばばあちゃんのおもちつき』(※1)です。図書館でも大人気、「ばばばあちゃんシリーズ」の絵本ですが、この絵本は、物語絵本ではなく、知識の絵本「かがくのともの傑作集」シリーズとして作られています。
雪合戦をしておなかをすかせた子どもたちは、ばばばあちゃんが食べている「おもち」を見て、食べたくなってしまいます。ですが、食べちゃったおもちは最後の一個。どうしても食べたい子どもたちは、ばばばあちゃんに作って!とお願いします。本来の「きね」と「うす」を使った本格的なものではなく、自宅でもできる「ばばばあちゃんりゅう」のもちつきがスタートです。
家庭でもできるおもちの作り方を知ることができますし、子どもたちのアイディアでいろんなおもちができるのが楽しいです。本の世界で得た知識を、実際に体験できるようになっているので、自分が作るならどんなおもちにしようかな、なんて、イメージもふくらみますね。出版から30年近く経っている絵本ですが、色あせない魅力のある1冊です。
二冊目は、『14ひきのもちつき』(※2)です。こちらも、大人気シリーズの12作目にあたります。ねずみの一家を通して、いろいろな季節感を味わうことができるシリーズです。
起きたら、さっそくもちつきの準備です。もち米をせいろに入れたり、うすを準備したりと家族みんなが協力して進めていきます。お米が炊けたら、いよいよもちつきのスタート!
言葉は必要最低限でありながら、擬態語でテンポ感よく、ストーリーが進んでいきます。そして、描かれているねずみたちが、その言葉の世界を彩って、ストーリーをより深めてくれています。それぞれの表情が豊かで、とてもかわいくてたまりません。ページを繰るたびに、じっくり絵を楽しみたくなること間違いなしです。
ここで、もちつきのエピソード。
今やおもちはスーパーで真空パックされた切りもちなどを手軽に楽しめますが、私の親族たちは、今も年末に、もちつきをしています。高齢になり、きねやうすでつくことはしませんが、親戚一同のもちを準備するために、朝から夕方まで一日がかりです。米を炊く係、機械に米を入れる係、できあがったもちをのばす係、鏡もち用に丸く整える係などなど、役割分担が決まっています。そして、できたてほやほやのおもちを食べるのがお約束。
こうしてできたおもちは、真空のものと違って、もっちり粘りがあり、食べ応えがあります。一年無事に過ごせるように、力をつけられるようにと続けてくれているもちつき、一年にこの時しか会えないという親戚たちもいます。こうした年中行事は、続けていくことはとても大変なことなのですが、家族や親族とのやり取りができる場として、大切にしたいものの一つです。
三冊目は、『みんなでもちつき』(※3)です。この絵本は、「かがくのとも」の2003年12月号として出版されました。その後、特製版として、絵本の版としても出版されています。
あきこちゃんの家族は年末年始を田舎で過ごすためにお出かけです。まちを抜け、山が見えてくると、おじいちゃんおばあちゃんの家に到着です。そこでいろんな体験をするのですが、そのひとつが「もちつき」です。おじいちゃんおばあちゃんの段取りが、物語の中で経験する知識として伝達されながら進んでいきます。
家族みんなの役割分担や、もちつきのコツ、「きね」の重さなど、説明じみた言葉はなくても、イメージできるのは、作者である菊池日出夫さんの絵がとても細かに描かれているからでしょう。
さて、準備万端であきこちゃん一家はお正月を迎えます。おもちいただきます編はまた次回に。
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菊池日出夫 作,
福音館書店,2003