皆様こんにちは。陽光がきらめき、お出かけしたくなる陽気になってきました。いかがお過ごしでしょうか?
この春は、気温のアップダウンのせいか、疲れやすさを感じて、いつも以上にごろごろと過ごすことが多かったのですが、もう一つ、最大の危機が!?初めて、のどや鼻の痛がゆさ+流れるような鼻水(食事中の方ごめんなさい)を体験しました。これがまさか花粉症?いや、そんなはずないよね、と心が揺れ動きました。認めたらいかん、という気合いとともに、ランチタイムのお散歩を中止し、発酵食品を摂りまくり、帰宅したらすぐにお風呂という、民間療法とも言えないような対応をしておりました。どれが功を奏したのかわかりませんが、おかげさまで、症状が改善しております。今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫、ではないということを痛感しました。
さあ、先月は、「あな」の絵本を紹介しました。穴があったら・・・、のぞきますよね?!(私だけ?)ということで、「のぞく」絵本を紹介します。
一冊目は、『のぞく』(※1)です。その名のとおり「のぞく」をテーマにした写真絵本です。表紙からして、「あぁ、子どもたちもぐりこみたくなるよなぁ」と納得しちゃう写真を撮影したのは後藤田三朗さん。思わず笑みがこぼれてしまう写真、じーっと近づいてみたくなる写真など、モノクロながらに印象的で臨場感のある写真がたくさん収められていて、とても素敵です。
また、その写真と写真をつなぐ絵がとてもかわいくて、こちらも見逃せません。大社玲子さんのイラストに合わせて切り抜き部分があり、ページを行ったり来たりしながら楽しめます。
そして、この絵本が大好きな最大の理由は、天野祐吉さんによる文章です。穴は冒険の始まり、研究の始まりで、見方、見え方を感じさせてくれます。子どももわかりやすい言葉でつづられているのですが、読み手によっていろいろなメッセージを受け取ることができます。
何度も見て、読んで、考えて、楽しめる、子どもから大人まで手に取ってほしい絵本です。
二冊目は『つるにょうぼう』(※2)です。「つるのおんがえし」というタイトルのほうが耳なじみがよいでしょうか。冬のある日、貧しい若者「よ平」は、一羽の鶴を助けます。その夜、美しい娘が訪ねてきて、一緒に住むことになります。もともと貧しいところへ、家族が増え、ますます生活が苦しくなると、娘がはた織りを申し出ます。ですが、絶対に織っているところをのぞくなと言われます。できあがった織物のなんと美しいこと。そして、その織物は高価で売れました。はたを織るたびに、やつれる娘の言うことよりも、よ平は金もうけに気を取られます。そしてついに、見てはならないと言われていたはた織りの部屋をのぞいてしまいます。
小さい子にとっては、初めて聞く単語も多いかと思いますが、矢川澄子さんの再話によるストーリーがとても心地よく進んでいきます。また、言葉の難しいところを補う、赤羽末吉さんの絵は、決して派手ではないのですが、遠目もきき、必要なところにスポットライトが当たっているかのようです。特にラストシーンは、とても物悲しくも、美しくもあり、必見です。
三冊目は、『のりおのふしぎなぼうえんきょう』(※3)です。お母さんにもらったカレンダーを丸めて、のりおは望遠鏡を作ります。望遠鏡で見るといつもの景色がちょっと違う?そこで、ひらめいたのりおは、望遠鏡に「おおむかし」と書いてみます。のぞくと、あら不思議、書いたとおりの世界が見えます。この不思議な望遠鏡をお母さんものぞいてみると、見えたのは赤ちゃんののりおです。
大人にとっては一見いらないものと思える「先月のカレンダー」が、不思議な望遠鏡になるということもわくわくするのですが、さらに、家族との絆が描かれています。この絵本は、文を平田昌広さん、絵を平田景さんと、ご夫婦で創り出されています。テンポの良いストーリーと、クレヨンの勢いのある絵がマッチして、とても楽しい一冊です。低学年の読み聞かせにもおすすめです。皆さんもカレンダーで望遠鏡作ってみませんか?
ちなみに『なぜ、穴を見つけるとのぞきたくなるの?』(※4)という児童書があります。学者さんがとっても素敵な答えを用意してくれていますので、答えが気になるという方はぜひ、あわせて読んでみてください。
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天野祐吉 文,
後藤田三朗 写真,
大社玲子 絵,
福音館書店,2006