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タイトル Hidden Library,Invisible Librarian

22 へび ながすぎる

へびがながすぎる表紙
『へび ながすぎる』
ふくなが じゅんぺい 作,
こぐま社,2022

 皆様こんにちは。新年が明けました!お正月はゆっくりできましたでしょうか?
 わが家は、子どもの進学に向けて引っ越し作業でドタバタの年越しとなりました。子どもの成長はうれしいのですが、なんだか早くもさみしくなってしまいます。私も学生時代、親元を離れ、一人暮らしをさせてもらいました。遠く離れて暮らすわが子を信頼し、心配し、応援し、という気持ちで送り出してくれていたのだろうな、と思い、今更ながら、感謝の気持ちでいっぱいです。

 さあ、今年は巳年。私、自分の名前に「巳」が入っているのですが、巳年生まれではありません(笑)。リアルなヘビちゃんは苦手なのですが、絵本のモチーフになっているヘビちゃんたちは大好きです。その中から3冊、ご紹介いたします。

 1冊目にご紹介するのは、2022年に出版された『へび ながすぎる』(※1)です。
 へびが長すぎるために、ねずみにも、うさぎにも、ゴリラにも、誰にも気づかれずに、みんなはへびでなわとびしたり、すべり台にしたり、ブランコにしたりと、楽しく遊んじゃいます。でも、それがへびだと気づいたみんなはびっくりです。
 シンプルなストーリーにかわいい絵がとても見やすく、遠目もきくので、読み聞かせにもぴったりの絵本です。
 私は初めて手に取ったとき、さらさらさら~と読み進めていったのですが、衝撃のラストで別の意味でびっくり!もう一度最初から読み直しました!固定概念を覆されるような展開がおもしろく、大好きな1冊です。
 小学校で子どもたちに読み聞かせしたのですが、やはり子どもたちも「もう一回最初から読んで!!」と予想通りの反応がこれまたうれしかったです。ぜひ皆さんも手に取って読んでほしいです。

 2冊目は、『へび のみこんだ なに のみこんだ?』(※2)です。タイトルの通り、ストーリーは、暗闇から何かを飲み込んだへびが登場するところから始まります。次のページで答え合わせです。いろんなものを飲み込みながらへびが進んでいきます。どんどんスケールが大きくなっていき、どうなってしまうのか、はらはらどきどきしながら楽しめます。
 この絵本も、読み聞かせで人気の1冊です。子どもたちは何を飲み込んでいるか、大きな声で答えてくれます。本の装丁も趣向が凝らされ、読み終わった後に、また最初から読みたくなります。
 ですが、この本、気になる点があって、へびに歯が生えているのです。牙はあれども、歯はないと思っていました。子どもたちは気にするかわかりませんが、手渡す側は理解したうえで手渡したいですね。 

 3冊目は、『へびのクリクター』(※3)です。作者は、第15回で紹介した『すてきな三にんぐみ』(※4)と同じく、トミー・ウンゲラー氏(※5)によるものです。
 舞台はフランス。学校の先生であるルイーズ・ボドさんに息子さんから荷物が届きます。送られたのは、誕生日プレゼントのへび。ボドさんは、このへびに「クリクター」という名前をつけてかわいがりました。クリクターはどんどん大きくなり、ボドさんの仕事のお手伝いもがんばります。そんなある日、泥棒が家に入ってきます。
 ボドさんの肖像画の額縁をさりげなくクリクターが彩ったり、タイトルが細かなウロコもようだったりと、あちらこちらにこだわりがちりばめられています。愛されているクリクターの大活躍がとてもかわいらしく、ほほえましく、頼もしく、大好きな絵本の1つです。

 今回は干支の「へび」に注目して本を選んでみました。もっともっと紹介したい「へび」絵本はたくさんあります。ぜひぜひ手に取ってもらい、絵本を楽しむ1年のスタートにしませんか??


  • ※1『へび ながすぎる』,
    ふくなが じゅんぺい 作,こぐま社,2022
  • ※2『へび のみこんだ なに のみこんだ?』,
    tupera tupera 作,えほんの杜,2011
  • ※3『へびのクリクター』,
    トミー・ウンゲラー 作・絵,中野完二 訳,文化出版局,1974
  • ※4『すてきな三にんぐみ』,
    トミー・アンゲラー 作,今江祥智 訳,偕成社,1969
  • ※5著者名「Tomi Ungerer」は、日本語では、トミー・アンゲラー、トミー・ウンゲラー、トミ・ウンゲラーなどと表記される場合がある。

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