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連載  雨のち晴れ、ときどき絵本

41 どうぶつにふくをきせてはいけません

どうぶつにふくをきせてはいけません 表紙
『どうぶつにふくをきせてはいけません』
ジュディ・バレット 文
ロン・バレット 画
ふしみみさを 訳
朔北社,2005

 皆様こんにちは。今年も夏まっさかり。夏の楽しい思い出を作っていらっしゃることと思います。
 私はというと、前回野球のお話を書かせていただきましたが、今年はどっぷり応援にはまっているので、夏もいそいそと出かけようと思っています。ですが、とにかく暑い・・・。
 千葉の球場は海のそばに建っていますが、ドームではないので、じっとり汗をかいてきます。普段、あまり汗をかく生活スタイルではないので、不快感マックス。それなのに、なぜ球場に行くのかというと・・・。花火のイベントがあるのです!夏の夜空を彩る花火を、大好きな選手の応援と一緒に楽しめるなんて、最高!というわけでした。苦手を好きが超えた瞬間です。

 さて、今月は、自分の子どもたちと楽しんだ絵本を紹介したいと思います。この企画を思いついて、20歳を超えた娘にインタビューしてみました。
 私「あなたたちと読んでいた絵本について書こうと思うんだけど、どんな本を覚えてる?」
 娘「『くまさんアイス』(※1)かなぁ。あとは、『かばんうりのガラゴ』(※2)。子どものころは、不思議な感じで、すごいと思っていたんだと思う。特に『くまさんアイス』のアイスはとってもおいしそうだと思ったから覚えていたんだろうけど、大人になって考えたら、普通のバニラアイスだったんだよね。」
 私「『もぐもぐトンネル』(※3)とか『どうぶつにふくをきせてはいけません』(※4)とかは?」
 娘「なんだっけ、なんか思い出せないけど・・・。動物の本は、服を食べたり、破いたりするんだっけ。」
 私「そうだね、動物たちがあれこれ服を着せられると困ったことになるんだよね。あなたは、セイウチがお気に入りだったんだけどね。」
 娘「そうかぁ。」
 私「『もぐもぐトンネル』は、みみずの天ぷらが出てくるやつだよ。」
 娘「あー、なんとなく思い出した。(地球の)裏側とか行っちゃうやつだ。」
 私「そうそう。掘りながら、どんどんとんでもないところまで行っちゃうの。とうとう力尽きたところにみみずの天ぷらよ。」
 娘「わかった気がする。見てたわ。」

 こんな塩梅で、会話をしておりました。
 一冊目の『くまさんアイス』は、前にこのエッセイでもご紹介しました。おやつはアイス!と決めてお使いに行くのですが、おしゃべりをしている間に溶けてしまいます。おやつが溶けてしまって、悲しいくまくんにお母さんはいいアイディアでこたえる、というお話でした。
 
 二冊目に登場した『かばんうりのガラゴ』は、島田ゆかさんの作品です。島田ゆかさんというと、『バムとケロ』シリーズが有名ですが、我が家では、『ガラゴ』シリーズが人気でした。
 かばん売りのガラゴが、お客様が欲しいかばんを売りながら旅を続けます。いろんな特製のかばんを見るのも楽しいですし、これでもかと書き込まれた背景に、こっそりバムケロの登場人物たちが隠れていたりと、遊び心もたっぷり詰め込まれています。

 三冊目に紹介したのが『もぐもぐトンネル』です。娘とのやり取りにも登場しましたが、もぐらのもぐもぐの冒険譚が描かれます。
 穴掘りの特訓のため、こっそり練習をしているもぐもぐは、どんどん掘っているうちに、思いもよらぬいろんな場所まで掘り進めてしまいます。がんばって家に戻ろうとしますが、帰れません。「もうだめだ・・・」と思ったもぐもぐの鼻に、いい香りが届きます。
 しらたにゆきこさんの描く、キャラクターの愛らしさとともに、ダイナミックな画面の使い方がとてもスケールを感じさせてくれます。わが子は、もぐもぐがたどった道を指でなぞりながらお話を聴いていたことを思い出しました。

 四冊目に登場したのが『どうぶつにふくをきせてはいけません』です。今でこそ、ペットたちにかわいらしいお洋服を着せている姿を見かけますが、この本を読んでいた私たちはちょっとドキドキです。動物たちは、いろんな特徴があって、ハリネズミはお洋服がびりびりに破れてしまうし、キリンにはネクタイは1本では足りないし、ヤギはお洋服がご飯だと思って食べてしまうし。そんななかでもラストシーンは私たちに対する風刺がきいています。
 そんなパンチのきいた文章はジュディ・バレットさんの手によるもので、ロン・バレットさんの絵がその世界を生き生きと描いています。ふしみみさをさんによる、絵とマッチしたパンチのきいた訳も見逃せません。
 私はこの本がなぜかとても大好きで、子どもたちにもよく読んでいました。文章は短いのですが、リズミカルですし、絵が細かい部分まで書き込まれていますし、ついつい手に取ってしまう1冊です。
 
 改めて、娘と幼いころの絵本の話をしてみると、なるほど、子どもたちは「その時」を最高に楽しんでいたんだなと改めて実感することができました。幼いころは、とてもすごいことに思っていた、という絵本の世界を十分味わって、大人になった今があるように思います。
 ぜひ、幼い子たちの「その時」を大切にしながら、多くの絵本と出会ってほしいと願っています。


  • ※1 『くまさんアイス』,
    とりごえまり 作,絵,アリス館,2003
  • ※2 『かばんうりのガラゴ』,
    島田ゆか 作・絵,文溪堂,1997
  • ※3 『もぐもぐトンネル』,
    しらたにゆきこ 作・絵,アリス館,2005
  • ※4 『どうぶつにふくをきせてはいけません』,
    ジュディ・バレット 文,ロン・バレット 画,ふしみみさを 訳,
    朔北社,2005

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