
皆様こんにちは。7月末に起きた熊本地震で被災された方にお見舞い申し上げます。大きく分断された道路や、散乱した家財道具などの映像を報道番組で目にするのですが、まだまだ暑い日が続く中、日常を取り戻すには時間が必要だと思いますが、とにかくご自身のお体を優先していただきたいと願っております。
今年も無事に夏休みが終了しました。図書館では久しぶりにイベントも開催でき、来館してくれた小学生、中学生とも楽しい時間を過ごすことができました。特に、「読書の大ぼうけん」という企画では、指定されたミッションをこなしながら、読書を楽しもうという内容でした。普段は決まった本棚から決まった本を選んでくる子どもたちも多いのですが、ミッションにあった本を探す、という体験もしてもらえました。
さて、今日は、子どもたちに出会ってほしい「知識の写真絵本」をピックアップしてみました。よくよく図書館の中を見渡すとたくさんの写真絵本がちりばめられています。物語の絵本とはまた違い、本を開くと、写真家の撮影した美しい世界が目の前に広がります。特に今回は、まだまだ残暑厳しい時期ですので、涼しくなるような絵本を選んでみました。
一冊目は、『マッコウの歌:しろいおおきなともだち』(※1)です。おじいさんと少年はマッコウクジラを探すために海に出ます。おじいさんは、クジラ捕りに行った男たちの話、『白鯨』(※2)の話、クジラの特徴などを少年に話してくれます。毎日船で海に出るなかで、白いクジラを見つけます。それが、サブタイトルにもなっている「しろいおおきなともだち」です。捕鯨をして暮らしてきたおじいさんの言葉は、いろいろな知恵と生命への感謝にあふれています。
この絵本は、北大西洋に浮かぶアゾレス諸島を舞台にした、クジラの撮影と取材をライフワークとしている水口博也さんの作品です。日本絵本賞大賞も受賞しています。残念ながら、現在は絶版となっておりますが、図書館でぜひ探してみてください。
二冊目に紹介するのは『フシギなさかな ヒメタツのひみつ』(※3)です。印象的な表紙と、とても美しい写真でつづられた絵本は、尾﨑たまきさんによるものです。初めて手に取ったときは「タツノオトシゴ?」と思ったのですが、「ヒメタツ」という名前の新種なのだそう。このヒメタツ、たくさんの秘密があるのですが、写真と文章でわかりやすく伝えてくれています。命の誕生の源でもある、卵の受け渡しの姿は、まさにハート形に見えるのもかわいいところですね。
今回の写真絵本は、熊本市出身の尾﨑さんが、熊本県の水俣市で撮影されたそうです。あとがきにもある通り、一時は水銀により汚染され、多くの命に影響を与えた過去があります。その場が今、このような命がはぐくまれる場となっていることも、感慨深いものがあります。
三冊目に紹介するのは『海のぷかぷか』(※4)です。この本を見つけたとき、表紙のかわいさに目を奪われちゃいました。「ただよう海の生きもの」というサブタイトルがついている通り、海でぷかぷか暮らしている生きものに注目した絵本です。クラゲや稚魚など、ぷかぷかしているだけではなく、透きとおった体をもつものがたくさん紹介されていて、見ているだけできれいで、なんとなく涼しさも感じます。
めいっぱいいろんな「ぷかぷか」の写真がつまっているだけではなく、詩的な言葉でわかりやすく知識を伝えてくれるのが寒竹孝子さん。動物たちや自然のことを身近に感じさせてくれる文章です。
この絵本のメインである写真は、水中写真家の高久至さんによるものです。この本を機会に高久さんのホームページの写真を拝見したのですが、どれも一期一会の写真がたくさん収められていました。きれいな海はもちろんなのですが、環境を考えさせられる写真もあります。美しい海で暮らす生きものたちに思いをはせ、私たちが暮らしを見直すきっかけにもなるように思いました。よかったらぜひみなさんもチェックしてみてください。
今回は「海」を舞台にした「知識の写真絵本」を紹介しました。その道を追い続ける写真家さんの目線から見た世界が切り取られた一枚は、ものすごいパワーと美しさの宝庫です。普段は見ることのできない世界を身近に感じられる知識の写真絵本は、大人にとっても新鮮に感じられることうけあいです。ぜひ、手に取っていただけたら嬉しいです。
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高久至 写真
寒竹孝子 文
アリス館,2017