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タイトル 学校司書の放課後カフェ 本と子どもと学びの風景 著者 八洲学習院大学 生涯学習学部教授 野口久美子

第6回 学校司書、子どもたちのブームが気になる

 皆さんこんにちは。残暑が続く今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。夏休みが終わり、学校にも活気が戻ってきましたね。放課後カフェのメンバーも新学期明けに久々に集いました。
 学校図書館では、突然火が付いたように、一冊の本が子どもたちの間でブームになることがあります。今回の放課後カフェでは、そんな本をめぐる子どもたちの様子が話題になったようです。

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あかり 今年の夏も暑かったですね~。夏は楽しいことも多いけど、酷暑は勘弁してほしいね。

しおん 真っ黒に日焼けして登校してきた子どもたちに会うとやっぱり嬉しくなるよね。花火大会に行った子、海に行った子、お祭りを楽しんだ子・・・子どもたちも夏を満喫したようです。

あおい ちょっと会わないうちに背が伸びて、思わず「大きくなったねぇ〜」って親戚のおばちゃんのように話しかけてしまったり。
お祭りといえば、私は肝試し大好き。ちょっとだけ涼しくもなれるし(笑) 子どもたちも怖い本、好きだよね。案外、学年を問わず人気だなぁって。高校の図書館に勤めていた時、高校生も怖い本が好きなんだ、小学生だけじゃないんだって思ったことがあって。

しおん そうそう、好きな子は多いよね、怖い本。必ず通る道なのかな? 私自身は怖いのは苦手で、りんご飴派(笑) 読書も怪談とか怖い本系には行かず、日本文学や外国文学中心だったなぁ。

あかり でも、ずっと怖い本一辺倒っていうわけではなく、卒業するタイミングってあるような気がする。怖い本に関してはブームになったとしても1年くらいで卒業する人が多い印象だな。

あおい ブームって、気づいたら突然起こってますよね。なんでこの本、こんなに借りられてるんだろう?不思議だなぁって思ってたら、ある学年のクラスでブームになっていることが分かったり。そうすると他の学年の児童から「〇〇っていう本、ずっと戻ってきていないみたいなんですけど、どうなっていますか? 」って聞かれて「ごめん、〇年生の間で回ってるみたいなんだよね」、「図書館に一度戻してほしいなぁ」、「うーん、気持ちは分かるけど、それはできないなぁ」ってやり取りがあったり。

しおん 今借りている子と次に読みたい子が連れ立って図書館にやってくるんだよね。その子が返却するのをお友達が横で待ち受けてて。だから返却されても、返却本を一時置きするブックトラックには行かず、人から人に渡されていく。

あおい なぜその本がブームに...?って思う時もあるよね。こないだなんか、廊下で子どもとすれ違ったときに突然、「〇〇ちゃんが借りてた、あの本を借りたいんですけど」って聞かれて。「うーん分からないなぁ、後で確認しとくね」ってやり取りをして。

しおん あるある! 本の題名じゃなくて、「〇〇ちゃんが借りてた本」って覚えてるんだよね。

あかり シリーズものの特定の巻が読みたいって言われたこともあった。他の巻はほとんど残ってるんだけど、読みたい巻だけがちょうど借りられてて、「えー、一冊しかないの?」って言われちゃうこともしばしばあるな。シリーズものは2冊も3冊も買うことはないからね。

しおん でも、そうやって一人の子が読んでる本に周りの子も興味を持って広がっていくって、図書館としては大歓迎だよね。一人でも多く、図書館に来てほしいから。

あかり さっき、あおいさんが廊下で突然子どもに聞かれて困ったって言っていたけど、私は実は即答できたことがあって。一年生の子がどんぐりの本を読みたいって言うから、6類の棚に一緒に行ってみたんだけど、「こんなんじゃない。あの子が借りてたのはこんなどんぐりじゃない!」、「どんぐりで作るやつだよ」って言うから、あぁ、7類(工作)だ!と思ったら当たりだったの。あれかな、これかなってやり取りをして、最後に「この本です!」ってビンゴだったとき、嬉しいよねぇ。心の中でガッツポーズしちゃう。

しおん どんぐりもね、いろんなところにあるからね。本も多いしね。

あかり 6類(林業)、4類(植物)もあるし、どんぐりを使った工作なら7類だし、創作絵本の題材にもどんぐりはたくさんある。

しおん ブームと言えば、私が思い出深いのは『怪人二十面相』だな。うちの学校にある『怪人二十面相』は20巻以上あるシリーズなんだけど、それを読破した子が2人いるの。当時3年生と5年生でね。3年生の子が最初に読み始めたんだけど、途中で5年生の子も読みはじめて、3年生の子が読んでた巻まで追いついて、「あの巻を読みたいのに、まだ返ってこない」って言って。でもね、3年生の子が読んでる途中っていうのは分かってるから、なかなか督促もしにくくて。そうしたら、後から読み始めた5年生の子が「公共図書館で借りて読んだ!追い越した!」って。

あおい よっぽど続きが気になったんだねぇ。

しおん それもあるし、なんとなく競い合うように読んでいるふしもあって。ゲーム感覚で「あいつよりも先に読破する!」って勢いが止まらなくなっていった感じで。

あかり 男の子って、探偵ものとか推理ものとかそういうのがやっぱり好きなんだね。

しおん 二人とも読むスピードも速くて。熱心に読んでるから、昔からのロングセラーの児童文学を勧めてみたんだけど、残念ながら反応は薄くて。ちらっとは見てくれるんだけど、「探偵もの、他にない?」とかって言って。

あおい ブームになるくらい男の子を夢中にさせる作品、私も発掘してみます!


〈著者プロフィール〉

八洲学園大学生涯学習学部教授、放送大学客員教授。
読書教育、学校図書館専門職のライフストーリーを研究。
図書館で働きたい・図書館をもっと素敵な場にしたいという思いを持つ学生さんを通信制大学にて応援中。
2025年に郵研社より、『蛾のおっさんが聞く 学校図書館のもやもや35』を共著で出版。

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