
皆さんこんにちは。
小学校に入学した1年生も学校生活に慣れてきた頃でしょうか。今日も放課後カフェが開かれるようです。覗いてみましょう。
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しおん 少し前に図書館をよく利用してくれていた男の子の話をしてもいいかな? 仮に「レンくん」としましょう。レンくんは当時、1年生だったんだけど、特別支援学級に在籍していて。物事に対するこだわりが強いっていうのかな、気になるとそればかりに注目したり、執着する特性のある子だったの。特に電車の本が好きで、入学してしばらく経った頃に図書館に来て、一冊本を借りていってくれたのね。しばらくして「返却します」って本を持って図書館に来たから、返却処理をして、「今日戻ってきた本」のところに置いたの。そうしたら、置いたと同時に、同じ本を「また借ります」って言ってきて。
あかり よっぽどその電車の本が気に入ったんだね。
しおん うん、こだわりが強いっていう特性もあると思うんだけど、一回で終わらなくて、同じ電車の本を「返却します」、「借ります」ってやり取りを何回も繰り返したの。
あおい あらあら。
しおん それでレンくんと色々話ができるまで仲良くなれたんだけど、その本を読みたい子が他にもいるかもしれないじゃない? 図書館の本は皆のためのものだから占有させちゃうのは良くない。どうしようと思って、司書教諭の先生に相談してみたの。そうしたら、「そんなに気に入っているのだったら、もう一冊買っても良いんじゃないですか」って言ってくださって。
あかり へぇ〜!柔軟な考えの先生で良かったね。
しおん しょっちゅう図書館に来るようになって、すっかり図書館の常連になってくれて。やっぱり一番好きなのは何回も借りていく電車の本なんだけど、「この棚にも違う乗り物の本があるよ」とか、おすすめもしてみたの。そうしたら、飛行機とか、違う乗り物にも興味が少しずつ広がっていって。最初は「この電車の本」っていう強いこだわりがあったんだけど、そこから少しずつだけど他の本にも目を向けられるようになっていくのが嬉しくて。
あおい すごい。成長を感じる!
しおん 自分が好きな本があるところが分かってきたのかな。「僕が好きな本はここにある」って。ちょっとずつ、ちょっとずつなんだけどね。学校司書をしていると、一人ひとりのちょっとした成長が見られて、とても楽しいなぁって。
あかり 分かる。子どもたち、日々成長しているもんね。
しおん そんなことがありつつ、今度は乗り物の本の場所が分かったから、そこから気に入った本を全部出してきて、机の上に広げだしたの! さすがに「えー!」って思って、「図書館に来て、棚に入っているはずの本が全部机に広げてあったら、他の子たちが本を読めなくなるよね。本が書架にきちんと戻ってるから、次来た時にスムーズに借りれるでしょ?」っていう話もするんだけど、お気に入りの本だから、机の上に飾っていつでも見られるようにしたいってことだったのかな。「じゃあ今日は 一冊だけ戻そうか」って言って、一冊戻せる時もあるし、全部広げたまま、「こうして帰りたい」って言ってそのまま帰っていく時もあって。そんなやり取りを見ていた5年生とか6年生が「片付けるの手伝いますよ」って言ってくれて。図書委員さんの中にもレンくんをちょっと気にかけてくれる子がいたり。
あおい 好きなものに囲まれていたいんでしょうねぇ。
あかり しおんさんが言うべきことは言いつつ、その子に合わせた対応をしているから、周りの子たちもレンくんを迷惑だと思わないんだね、きっと。そこでその場で頭ごなしに叱る大人がいたら、周りの子どもたちは「あの子、ちょっと迷惑な子なんだよね、やっぱりね」ってなっちゃうけど、おおらかに受け止めてあげてるから、すごくいいと思う。
まだまだ話は続いているようですが、今回はここまで。続きはまた次回。
八洲学園大学生涯学習学部教授、放送大学客員教授。
読書教育、学校図書館専門職のライフストーリーを研究。
図書館で働きたい・図書館をもっと素敵な場にしたいという思いを持つ学生さんを通信制大学にて応援中。
2025年に郵研社より、『蛾のおっさんが聞く 学校図書館のもやもや35』を共著で出版。
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