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タイトル 本の風

第40回 「読んでから食べる?食べてから読む?」

 『疲れた人に夜食を届ける出前店』中山有香里/著、KADOKAWA(2022年)「これ面白かったですよ、読んでみてください」とニッコリして職場の後輩ちゃんが貸してくれたお料理本コミック。料理レシピ本大賞 in Japan第10回コミック賞受賞と書かれた帯がまかれている。町の片隅でクマがはじめた夜食の出前店。ストレスフルな日々に疲れた大人たちに、おにぎりやしょうが焼き、ポトフなど、出来立てほやほやの一品を届ける。大の大人が泣きそうになりながら料理を頬張る傍らで、もやもやを回収したり背中をポンポンしてくれるクマたち。明日も頑張れって励ますより、なんとか明日も頑張れるね、って少しだけ気持ちを前向きにする源は食にあるに違いない。食べるっていいね。イラストで書かれたレシピも可愛い。

 料理レシピ本大賞in Japanとは、以下ホームページより抜粋。
 「料理レシピ本」の書籍としての指標を示し、また魅力をアピールし、その価値を広く浸透させ、果ては書店店頭を活性化する目的で、「料理レシピ本大賞 in Japan」を創設し、運営することといたしました。書店員有志が中心となった料理レシピ本大賞 in Japan実行委員会が運営しております。また、取次会社各社、出版社など出版業界各社がサポーターとなり協力しております。

 なるほど。○○大賞や○○賞受賞といった類は確かに文芸やエッセイが多くを占めているので、料理本ジャンルでの賞は面白いなあと過去の受賞作品を眺めていた。料理部門・お菓子部門・エッセイ賞・子どもの本賞・コミック賞・プロの選んだレシピ賞・ニュースなレシピ賞などがあるようで幅広い。
 本がメディアで取り上げられたり、受賞の情報を得ると勤務館の所蔵状況を検索するのは図書館員あるあるではないかな。例に漏れず、いそいそと検索する私。案外、所蔵している本が少なかったのは、図書館員が選書する本と書店員有志が推す本が微妙に異なるのか。この問題、実は根深いかも……。いくつかは次回の選書会に提案してみようと思う。

 食に関するエッセイ。ジャンルとして確立しているくらい多くの出版物があって、大雑把に分類をすると①丁寧なくらしを伝えるもの ②はじめての挑戦を面白おかしく伝えるもの(一人暮らしや子育て中の料理とか) ③食べ歩きなどグルメガイドもの ④食の蘊蓄もの ⑤日常とは離れた場所で珍しいものを食した記録もの、かな。
 ②の類はコミックになっているものも多くて次々に新しい作者さんが出てくる感じ。SNSで発信されたものが書籍化されることも多いなあ。分類してそれぞれ好んで読んできたのだけど、最近はちょっと食傷気味。原因はなんだろうと考えると、食に関することは女性に属していることが当たり前として書かれているような気がしてしまうから少しモヤモヤするのかも。分類した⑤の類は、男性作家さんが書かれることも多いし、一概には言えないので、あくまでも個人的な感覚。

 冒頭に紹介した『疲れた人に夜食を届ける出前店』をすんなり面白く読めたのは、夜食を作ってくれているのがクマだからなのか!!
 でも、このコミックをおすすめしてくれた後輩ちゃんには、よほど私がお疲れに見えたのでしょう。そう、私はいま、とても疲れている。だから、自分にご褒美なんだと言っては食べたいものをモリモリ食べている。食べるっていいね。(石)

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