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タイトル ライブラリアン・ラプソディ

24 ブルー・ノート

挿絵1
※挿絵はクリックで拡大します。

 憂鬱な梅雨の季節。ブルーな気分なのは雨が理由ばかりではない。昨今の大学を取り巻く状況、しいては大学図書館を取り巻く状況は混とんとしているためでもある。18歳人口の減少により大学の淘汰の時代がきている。全国の国公私立大学は約800校、「2040年を見据えた高等教育の課題と方向性について」(文部科学省高等教育局)によると、2017年に120万人だった18歳人口は、2030年には103万人、さらに2040年には88万人と下降の一途をたどる。そのうち大学進学者数はというと、2017年 63万人だったものが、2040年には 50.6万人と現在の約80%の規模に減少すると予測されている。大学のみならず、日本の未来は大丈夫なのでしょうか?

 こういった状況下、大学の一組織である図書館もこの波を受けずにはいられない。文部科学省が実施する学術情報基盤実態調査は、国公私立大学の大学図書館、コンピュータ及びネットワークなどの現状を明らかにするものとして毎年行われ、その回答率は100%と現在の大学の学術基盤の状況が如実に伺えるものである。

 令和3年度の大学図書館に関する結果を見ると、図書館資料費は、前年度より3億円減少の706億円(令和2年度実績)、10年前と比較すると約1.3%ダウンと微減、しかしジワジワと着実に減少している。その内訳は、紙媒体の資料に係る経費が全体の34%であるのに対し、電子媒体資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は全体の50%程と、大学図書館での電子需要の高まりが顕著である。また電子ジャーナル経費のうち、国外出版社への支出額が国内の出版社のそれのなんと26倍!「私の計算あってるかしら?」と目を疑いたくなるほどの格差である。
 
 外国雑誌の場合、紙媒体にしても電子媒体にしても毎年の値上がりは必須である。昨今は平均して5%前後の値上がりが見込まれ、ある出版社の製品は10%近く価格が上昇する。また、レートの変動に左右される点も国内雑誌とは大きく異なるところで、円安の場合は通常の値上げに加えて、価格の上昇率が増すのである。FXをやっているわけでもないのに、レートの変動が常に気になる!というのが、大学図書館の雑誌担当者の‘あるある’なのである。また海外電子資料へは消費税が課税されるため(いわゆるリバースチャージ方式)、大学の経費を圧迫している現状もあり、様々なプレッシャーをヒシヒシと感じずにいられない。

 個別の大学がそれぞれ外国出版社と交渉し、契約を取り交わすのは気の遠くなるような作業である。エブリデイ憂鬱、間違いなし!そんな私たちの強い味方が、JUSTICEi)である。電子リソースに係る外国出版社(国内出版社もあり)との購入や利用条件などの交渉を一元化して行い、そのスケールメリットを生かすことでJUSTICEの会員館は学術情報の価格の上昇抑制など、個々の図書館においても安定した契約を維持できるのである。まさに正義!みんなのJUSTICEなのである。
 
 日本の研究を支える一端を担っているのが大学図書館。この自負が縁の下の力持ちの原動力である。集中力の継続と冷静な判断力、頭脳労働にも効果的であるブルーの力をかりて、PCの背景色はブルーにしよう。そして、ブルーな気分を払拭させなくちゃ。


i) 大学図書館コンソーシアム連合(Japan Alliance of University Library Consortia for E-Resources : JUSTICE)は、日本の大学における教育・研究活動に必須である電子ジャーナルをはじめとした学術情報を、安定的・継続的に確保して提供するための活動を推進している組織である。

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