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タイトル 学校司書の放課後カフェ 本と子どもと学びの風景 著者 八洲学習院大学 生涯学習学部教授 野口久美子

第4回 学校司書、子どもの歩みに寄り添う(後編)

 皆さんこんにちは。
 今年もいよいよ夏本番といった雰囲気になってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。放課後カフェに集まる学校司書たちも夏休み前の長期貸出に向けて、おたよりを発行したり、おすすめの本の展示を作ったりと、はりきっているようです。
 前回の連載では特別支援学級に在籍する小1のレンくんとのエピソードがしおんさんから語られました。どうやら、まだまだ続きがあるようです。

* * *

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しおん レンくんの話、もう少ししても良い?

あおい 聞きたい聞きたい!

しおん 図書館の入り口のところに「開館中」「閉館中」って札を下げてるの。裏表になっていて、「開館中」をひっくり返すと「閉館中」になる。どこの学校図書館にもあると思うけど、レンくんがそれを見て、「これはなんて書いてあるの?」って聞くから、「これは「開館中」だから開いてますってことです。こっちは「閉館中」だから図書館は使えませんってことです」って説明をしたの。そうしたら、なんと! 次に来た時に札をひっくり返して、「閉館中」にして入ってくるの(笑)。

あおい えっ!どうして???

あかり いたずら心が働いたのかな? 

しおん 「閉まってるにしちゃいましたー」とかって笑いながら入ってくるから、「そんなことしたら、他の子たちが図書室に入れなくなりますよー」って追いかけ回すのがもうルーティーンになっちゃって(笑) で、お昼休みの開館の時には当番の図書委員さんが「12時50分になりました。お昼休みが終わるので、本を借りる人はカウンターに来てください。借りない人は元の場所に戻してください」って呼びかけることにしているんだけど、ある時、レンくん、12時40分頃に突然「12時50分になりました」って言い始めたの! 案の定、周りの子たちが「え?もう50分!?」ってザワザワするわけ。

あおい 図書委員さんの真似をしたかったのかな。お兄さんお姉さんがカッコよくみえたんだろうねぇ。

しおん そうなんだよね。「50分じゃありませんよ、まだ」って注意はしつつも、「上手だねー、図書委員さんになれるね」って褒めたら、「図書委員さんは何年生でなれるんですか?」って聞かれたから、「図書委員になれるのは5年生からです。図書委員さんになったらまた上手に言ってね」って伝えて。

あかり ちゃんと図書委員さんの呼びかけを聞いているんだね。12時50分になったらお昼休みが終わるから片付けなきゃいけないって分かってる。それがえらい。

あおい 授業中って、ずっと自分にかまってもらえるわけではないよね。先生は他の子もみないといけないし。だから、図書館に来ると、しおんさんと話せてすごく楽しいし、嬉しいんだろうね。

しおん そう、やっぱり授業だとどうしても静かにしなきゃいけないというのがあるから。レンくんにとってはちょっと窮屈なのかもしれない。

あかり 図書館は自分を受け止めてくれる場所って思っているんだよね。 図書館にいる司書さんは僕と一緒に楽しんでくれているって感じてるよね。

あおい 図書館で過ごす時間は、学校生活の中でもちょっとホッとする時間なのかもしれないね。

しおん うん。でも、線を引くべきところは引いて。例えば、貸出は2冊までって決まっているのに、「これも借りたい」とかって言うんだけど、「ピッってするのは一人2冊まで。それだけは絶対守ってね」って。

あかり どの学校でも特別支援の対象の児童が増えているよね。私の勤務校でも、いろんな困り感を持っている子が図書館にやってくるから対応が難しいなって感じることも正直ある。その都度、担任の先生や養護教諭、スクールカウンセラーさんに相談しながら対応しているんだけど、障害者差別解消法(注1)や読書バリアフリー法(注2)だったり、「りんごの棚」(注3)やバリアフリー資料だったり、少しずつではあるけどきちんと学ばないとなって思ってる。すべての子どもたちの読みたい、知りたいという気持ちに応えていきたいから。

しおん 何より、やっぱり本をね、すごく楽しんでるっていうのがあるから。図書館に来るのは楽しい、本を読むのは楽しいって、その気持ちを持ち続けてもらえるようにしていきたいよね。

 今回はここまで。次回もお楽しみに!

(注1) 障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)では、障害のある人からの求めに応じて、その人にとってのバリアを取り除くための変更や調整を、過度の負担にならない範囲で行う「合理的配慮」の提供が行政機関のみならず民間事業者を含め、義務化されています。
(注2) 読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)とは、障害のある人も自分にあった形式や方法で読書を楽しめる環境を整備するための法律で、バリアフリー図書の出版促進、普及などが目指されています。
(注3) りんごの棚とは、様々な形態・形式のバリアフリー資料、読書補助具(リーディングトラッカーなど)を一箇所に集め、すべての子どもたちが読みたい本と出会える環境を創る工夫です。全国の公共図書館、学校図書館に広まっています。

〈著者プロフィール〉

八洲学園大学生涯学習学部教授、放送大学客員教授。
読書教育、学校図書館専門職のライフストーリーを研究。
図書館で働きたい・図書館をもっと素敵な場にしたいという思いを持つ学生さんを通信制大学にて応援中。
2025年に郵研社より、『蛾のおっさんが聞く 学校図書館のもやもや35』を共著で出版。

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