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タイトル 猫の手は借りられますか〜図書館肉球譚〜

第38回 先送りゼロのライブラリアンになる

図書館、特に公共図書館は時間に厳しい組織です。司書のやるべきことは分刻みで決まっているのが普通だし、指定された休日を変更するのも一苦労。有給休暇をまったく消化できないというボヤキもよく聞きます。そんな状況だと、締切りのない仕事は先送りされがちですよね。実際には締切りの有無とその仕事の大切さは関係なく、むしろ締切りがない仕事こそ大切であることが多い(スタッフの育成とか、組織の開発とか…)と思うのですが。

実は、2月半ば、私もとうとう新型コロナに罹りました。3月が近づいても、ひどい倦怠感が抜けず、この疲れやすさは一生続くのだろうか…と、不安に悶えた日々が忘れられません(いまはすっかり元気ですが)。でも、年度の切り替わりの時期で仕事は増える一方。大事な仕事を次々と先送りするのはなんとも心が痛むものです。

そして、3月1日。ついに先送りゼロの方法を見つけたのです!

答えは一冊の新刊書にありました。病床で読んだjMatsuzakiと佐々木 正悟の共著、『先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術』(技術評論社)です。著者は先送りゼロの方法を次のように要約します。

<先送りをなくすための具体的なアプローチをまず挙げます。やることはごく簡単です。 次の 3つを習慣 にしてください。

  1. 1日の初めに今日やることを決める
  2. 1日の終わりにその中で先送りした数を数える
  3. 1分でも手をつけたら「先送り」とはしない

たったこれだけです。これだけで「先送り」に対して十二分の効果が上げられます。>(前掲書)

タイトルから想像しにくいのですが、本書は、タイパ(効率的な時間の使い方)という幻想への執着を解いてくれます。「先送りをなくしたい」という願いの大本にあるのが、不安や自責(場合によっては他責)の念からの解放と、仕事におけるマインドフルネスつまり「今、ここ」に集中できる状態の実現にある、と分かるのです。特に、3つ目の習慣、1分着手ルールには「これぞ、コペルニクス的転回!」と叫びたくなりました。

挿絵
※挿絵はクリックで拡大します。

<1分着手ルールとはつまり、「終わらせる」より「始める」に集中 する発想です。その結果、「なるべく早く手をつけて、少しずつ進める」 のが可能になります。 これこそが仕事を進めるゴールデンルールなのです。>(前掲書)

その昔、高校3年生の私は、学習参考書を〇月×日までに仕上げると決め、1日に何ページやれば目標に到達するか逆算して受験勉強に臨んだものでした。でも、これほど確実と思える方法が、実際にうまくいったことはなく、失敗と分かるたびに自信喪失してうなだれていました。あの頃、先送りゼロのルールを知っていれば、今頃は…いやいや、大事なのは「今ここ」に集中すること、そのためにまずは1分間、手をつけてみることです。

今日も、各地の図書館の計画書や自著の執筆の仕事に向き合っていますが、逆算の罠にはまらず、大事なことから手をつけることを心がけています。蛇足ですが、スマートフォンは常に機内モードにしておくのは、先送りゼロの習慣ととても相性が良いのです。4つめの習慣としておススメですよ。セットでぜひ、お試しあれ!

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