いきなり「ファシる」なんていう造語を登場させてごめんなさい。「ファシリテーションする」では長すぎるので、思い切り縮めてみました。
ちょっと前になりますが、当コラムの第28回は、題して「対話を促す読書会、ABD」。知られざる略語入りのタイトルでした。対話を促す優れた方法として、アクティブ・ブック・ダイアローグ®(以下、ABD)を紹介した回です。実は、昨年末、私自身がABD認定ファシリテーター養成講座を受講しました。本稿執筆中の1月末時点で既に4回、ABDのホスト役を務めたところです。今の私は、大学の対面授業や友人たちとのオンライン・ミーティングで、ファシリテーターとしてABDを楽しんでいます。
まだ経験の浅い私ですが、はっきり言えることが一つあります。司書が「ファシる」ことを学ぶなら、ABDのファシリテーターになるのが早道ですよ!
新米ファシリテーターにとって、参加者全員が楽しめ、しかも気づきの多い対話の場をつくるというのは、かなりハードルが高い目標です。でも、ABDの場合は、本が助け舟になってくれるのですよ。本は共通の話題や言語を提供してくれますからね。「本は対話の素材なのだ!」と言い切りたい位です。私見では、ABDの醍醐味は本の中身を効率よく知ること以上に、初対面の人とであっても深い対話ができることにあるのです。もちろん、適切な本を選んで紹介するのもABDの運営では重要なことですが、そこは司書の得意分野ですよね?
「そもそも、なぜ司書がファシリテーターになる必要があるの?」と思ったあなた。当然の疑問です。前回の当コラムで、いまどきの図書館には連携が欠かせないし、連携に励む司書にとってもお得なことがある、と書きました。実は、連携上手になるために、最も役に立つ資質が、対話を促すファシリテーターとしての能力なのです。うちとけた対話ができるようになると、連携する当事者同士の関係は人間らしいものになります。お互いを、立場や役職が服を着ているんじゃない、ひとりの人として見ることができるようになるのですね。そうなれば、連携という関係の質がグンと向上するはずです。
もちろん、よきファシリテーターであることは、個人的にも大変お得です。なぜって、今の世の中、物事の感じ方も考え方もかけ離れた人同士の付き合いがすごく増えているじゃないですか。家庭の阿吽(あうん)の呼吸も、職場の上意下達も通用しない状況で何かしようとすれば、みんなファシリテーターになる必要がある。そんな時代だと思うのです。
さあ、司書のみなさん。心の準備はできましたか?まずはABDの無料マニュアルをダウンロードして( © アクティブ・ブック・ダイアローグ協会サイトhttps://www.abd-abd.com/ )、早速、ABDをファシってみましょう。お試しあれ!
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