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タイトル 猫の手は借りられますか〜図書館肉球譚〜

第31回 さらば、SNS

S:嫉妬から
N:逃げられなくなる
S:サービス

なんで、俺の座布団ばかり少ないの!
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なんて大喜利風の独り言が、ロルフ・ドベリの『Think clearly』(サンマーク出版)を読むうちにひらめいてFacebookに投稿した、その翌週。

同じ著者の『News Diet』(サンマーク出版)という本を読み、そちらにも深く感じるところがありました。ドベリの主張を要約してみましょう。

ニュースは刺激的だけど、99%、自分には無価値な情報と引き換えに、私たちの有限な時間と注意力を奪い、短絡的な思考を植えつける。読まないと時代から取り残されるのではないかと不安になり、読めば世の中が大変なことになっていると不安をかきたてられる。無用なストレスを生み、心身にダメージを与えるのがニュースというものだ。だからニュース断ちをして、余った時間は、良質の本を読み、じっくり考え、家族や親しい友と過ごすことに充てよう。

なお、ドベリが批判するのは粗製濫造されるニュース報道であって、調査報道や解説ジャーナリズムの必要性は否定していません。

ニュースに対するドベリの批判は、SNSについても、ほぼ当てはまります。特に、SNSの場合は自分と似た境遇の人と自分自身を比較させられるような投稿が多く、嫉妬という、不快な感情の引き金になりやすい、とドベリは書いています。(『Think clearly』)

私は、SNSのありがたさを実感しているし、図書館のマーケティングにも有効なメディアとなる可能性が高いとも思います。たとえば、遠方の友人たちと本の感想や近況を気軽にやりとりし、今度読みたい本をリストアップできるのは、SNSの際立ってすばらしいところです。

しかし、私個人についていえば、特にこの数年、弊害の方が目立ってきました。 SNSにログインすると、途端に腹が立ったり、気が滅入ったりすることが多いのです。直接対面の場では滅多にないことです。そこで、主に使用しているFacebookのアプリをiPhoneとiPadから削除し、Facebookの仮想空間を毎日のように回遊する習慣を断つことにしました。このコラムを執筆している時点で、ひと月が経過しましたが、安らかな気分で読書をしたり、ものを書いたり、親しい人たちと会話する時間が増え、快適です。

今後、Facebookでは、このコラムや、自分が関係するイベント情報を更新する告知に加え、月毎の読書記録や年末年始の挨拶を発信するくらいにします。少人数のグループやメッセンジャーの機能は、引き続き使いますけどね。

挿絵
※挿絵はクリックで拡大します。

さらば、SNS。君との日々は楽しいこともあったけど、そろそろ卒業するよ。私と同年齢の日本人男性の平均余命にもとづくならば、残された時間は7200日足らず。読みたい本、会いたい人、行きたい場所…やりたいことがあり過ぎるんだ。

本を読む時間も、読みたい気持ちもわいてこないとお嘆きの司書猫のみなさん。SNS漬けから脱出するダイエットはいかが? ぜひ、お試しあれ。

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