「フリー・ライブラリアン(‘a free librarian’以下、’FL’)」という言葉を聞いたことがありますか?ときどき、知人にも「私、それです!」とおっしゃる方がいます。直訳すれば「自由司書」、私は「野良司書」と意訳します。ある辞典に「野良猫」即ち「飼主のない猫。宿なし猫」とあるのに倣えば、「雇用主のない司書。館なし司書」となりますね。
昨年、私がかかわる東海ナレッジネットというコミュニティで、FLをめぐって語り合うオンライン・イベントを開催しました。題して「FL養成課程を妄想する」。
このイベントをやるまで、私自身はFLにネガティブなイメージを持っていました。図書館という組織に属さない司書なんてナンセンスでは?でも、今は思うのです。
「FL、いいよね!これからはFLの時代かも。」
実際、図書館員ではないけど司書の資格や経験があり、その知識と技を世のため、人のために役立てたい、副業にも活かしたいと願っている人は少なくありません。そして、図書館には埋められない世間のスキマを満たすように、FLとして活動しているのです。以下に、実例をいくつか。
大学や短大の司書課程では、司書という職業に就く前提で教育が行われていますが、実際に司書になるのはごく少数。そこで学ぶ学生にもFLの話をしたいと思い立ち、非常勤講師を務める大学で実行してみました。すると、ある大学では半分近い学生が授業の感想として「強く印象に残った」「司書資格を取る意味が見えてきた」とポジティブな感想を書いてくれたのです。ひとつだけ、ご紹介しましょう。
「すでに図書館ではない民間企業への就職が決まっているが、 最後に自分の興味のあることを学びたいと思い、司書課程の授業を詰め込んだ。周りには、なんで?と言われ、自分でも迷っていたが、司書を本業とする以外の関わりの道を紹介していただき、これでいいと自信を持つことができた。」(以上、要約。)
たとえ「館あり司書」であっても、FLに思いをはせればきっと得ることがあるはず。お試しあれ。
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