立春を過ぎたころ、私信のハガキが届いた。なんとエアメールである!送り主を見て思わず喜びの声が出てしまった。
そのハガキはFrom Thailand。送り主は17歳の少年である。彼は国際教養大学の学生で運営する、秋田県高校留学推進委員会の奨学金に応募して試験に合格し10ヶ月間タイへ留学中の身。小学校に入る前から3歳年下の妹さんとお母さんと一緒に図書館に来ては、絵本を選んだりおしゃべりしたり、前庭をかけまわったりしていた。小学校高学年にはひとりで来て本を選び、中学生になると友だちと来たり、ひとりで館内の隅っこの席で勉強したり。人懐っこい男の子が礼儀正しい少年へと成長していく様子を、まるで親戚のオバチャンみたいに喜び、見守ってきた私。
丁寧に書かれた手紙からは、異国の地を満喫している様子が伝わってきた。ほんとにすごいなぁ。
いただいたお手紙にはお返事を書かなくては!エアメールの宛名の書き方などはネットで検索し、いざ挑戦!
タイ語は難しすぎてまったく書ける気がしなかったので、彼が送ってきたハガキに書かれていた住所を(たどたどしくも彼の直筆)Googleレンズでテキスト検索しコピーして、メール本文に貼り付け、そのメールをプリントアウトして、切り貼り。(便利な時代だなぁー)多分、大丈夫!「AIR MAIL」としっかり書いて郵便局へ。
窓口で係の人へエアメールを送りたいと伝えるとどちらまで?と。「タイです」とやけに張りきった声で答えて少し恥ずかしい。「230円です」との返事に「えっ!」と言うと、これは定形外なので230円だけどハガキなら100円ですよと教えてくれる。遠い異国の地へ運ばれていくお手紙がこんなに安価とは。人生初のエアメール、無事に彼の元へ届きますように。
お手紙、といえば『ふたりはともだち』の中に入っている5つの物語のひとつ『おてがみ』。なかよしのがまくんとかえるくんが登場人物の、アーノルド・ローベルの名作のひとつ。教科書にも掲載されていて、ご存知のかたも多いことだろう。
お手紙を一度ももらったことがないと悲しむがまくんに、かえるくんはお手紙を書きました。かえるくんはそのお手紙をがまくんの郵便受けに届けてほしいとかたつむりくんに頼みます。玄関の前に座りお手紙を待つふたり。お手紙が届いたのは4日後でした。
待っている間に、おしゃべりしたり、お茶を飲んだり、ご飯を食べたりしたんだろうなあと考えると、一緒に過ごした時間こそが大切なものだったのだろうと想像します。
かえるくんががまくんに宛てた手紙には「親愛なる、がまがえるくん。ぼくは、きみがぼくの親友であることをうれしく思っています。きみの親友、かえる」と書かれています。なんて嬉しい手紙でしょう。
お手紙を出すって、相手のことを思ってハガキや便箋を選び、手紙をしたため、切手を貼ってポストに投函する、というなんとも手間のかかること。EメールやSNSのメッセージでも代用できて、手軽にスピーディーだけど、郵便ポストに届くお手紙の幸福感は何物にも代えがたいものだ。久しぶりにお手紙だしてみようかなと思う友人の顔が浮かんだ。
くだんの彼は3月には日程を終え帰国予定とのこと。元気に笑顔で会える日が楽しみである。(石)
design テンプレート