可愛い小物を手作りする本やお料理やお菓子づくりの本、ファッションやヘアアレンジなどの本や雑誌はとても人気のあるジャンルです。次々に新刊が出版され、本屋さんでも種類に富み、図書館でも多くの方に利用されています。もちろん児童書にもこういったジャンルの本はたくさんあって、簡単でわかりやすい説明は大人の私が読んでもほぉ!と思うものもあり、何より写真やイラストが満載で可愛いのです。
○○ちゃんは借りていったお裁縫の本を見ながら自分で縫ったという本を入れるバッグを見せてくれました。おしゃれ番長の△△ちゃんは雑誌『二コラ』の新刊を欠かさずチェック。お菓子づくりが好きだという□□ちゃんは大人向けの棚にある本も借りていきます。◎◎ちゃんはナツメ社の『キラかわ★ガール』シリーズが大好き。このシリーズは、おしゃれでめちゃかわできらきらでときめきがいっぱい!!図書館で所蔵することへの議論はさておき、◎◎ちゃんにとっては、図書館で借りたい本であることは間違いないのです。
ある日の午後、◎◎ちゃんは可愛い髪飾りをつけたツインテールを揺らし、スカートをふわふわさせて、児童室で絵本を返却している私に声をかけてきました。『キラかわ★ガール』シリーズで読みたい本を探してるのかな?と思って聞くと、今日は絵本を探していると言うのです。
◎◎ちゃん「スイカから女の子が出てくるの」
私「(おおおおおおおお!心の声)そうなんだ!呪文出てこなかった?」
◎◎ちゃん「うん。なんか水の中にいるの」
私「うんうん。川の中でお祭りに行ってお買い物してたよね」
◎◎ちゃん「うん。お人形の着物がね…」
私「うんうん。お母さんのこと思い出すんだよね。カッパ出てこなかった?」
◎◎ちゃん「うん。そう。」
私「ここにあるよ、これじゃないかな」
そう言って棚のところまで一緒に行って、その絵本を指差してあげると、嬉しそうに一冊の絵本を抜き出したのでした。私は『キラかわ★ガール』シリーズの◎◎ちゃんという認識で接していたことを反省して、この絵本読みたかったの?と聞くと、読んでもらってとても面白かったのだと教えてくれました。近くにいたお母さんが「へぇ面白そうだね!」と言っていたので、読んでくれたひとはお母さんではないようです。読み聞かせの人かな?学童の人かな?学校図書館の司書さん?誰でもいいけど、◎◎ちゃんにこの絵本読んでくれてありがとう——と叫びたくなる出来事でした。
図書館に入れるための本を選ぶことを選書するといいます。選書って本当に難しい。市民の様々な知りたいに応える本を、市民の読みたいに応える本を、限りある予算の中で膨大な出版数の中から選ばなくてはいけない。さらに子どもの本ならその年齢年齢に合わせて出会ってほしい本を選び、それを手渡してあげることができる司書でありたいと思っています。そして子どもたちに本を手渡すことは司書だけじゃなくて、子どもを取り巻く様々な人が関わるといいなとも思っています。
絵本にも可愛いとか美味しそうとかおしゃれだとか、そんな形容詞で表現されるものがたくさんあります。そういった絵本を読んでもらって、面白かったな、自分でもまた読みたいなと子どもたちの心に残るものはどのくらいあるかしらと、また選書とは…と遠い目になるのでした。
探していた絵本は『おっきょちゃんとかっぱ』 長谷川摂子・文/降矢奈々・絵/福音館書店でした。私も大好きな絵本なので、すぐにわかってよかったよかった。けれども、どんな絵本でもすぐに探し出せるわけではありません…でも、がんばって探します!お気軽にお声がけくださいね。今日もまた、図書館であなたをお待ちしています。(石)
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