皆様こんにちは。あっという間に3月がやってきました。毎年毎年、時のたつのが早く感じられます。
新生活の準備をされている方もいらっしゃるかもしれません。進学、就職、第二の人生のスタートなど、引っ越しをされる方も多いのではないでしょうか。
私は、千葉県生まれの千葉県育ち。地元を離れたのは大学4年間のみでした。小さな古いアパートで一人暮らしをしていました。3月に引っ越したばかりの頃は、ただでさえ心細いのに、誰も頼ることのできないさみしさで、胸がいっぱい。大学生活に慣れるのも大変だったことを思い出します。長期休暇を実家で過ごし、アパートに戻ると、なんとなく寒々しく、涙を流した日もありました。
その後、友人ができ、遊びに来てくれる日などは、あんなに寒く感じていたアパートが暖かく感じます。住む家って、本当に心を投影するように思えます。今回は、そんな思いから「いろんな家」をテーマに本を選んでみました。
一冊目は、『グリンピースのいえ』(※1)です。カエルのグリンピースが自宅のルームツアーをしてくれます。まずは、落ち葉の中のグリンピースのかんづめが玄関です。入ると、落ち葉の奥に広がる長い廊下を歩いていきます。ソファや運動場、お風呂だってあるんです。でもそれらはどこかで見たことがある物のような・・・。最後に登場するグリンピースの家の全体像には、地中に眠るいろんなものが描かれています。カラフルな絵柄とグリンピースのコミカルな表情がとても楽しい一冊です。
二冊目は『てぶくろ』(※2)です。一人のおじいさんが手袋を片方落としてしまう場面からお話が始まります。そこにねずみがやってきて、手袋に住むことにします。そこからいろんな動物たちがやってきて、「入れて」と頼みます。動物が増えれば増えるほど、手袋の家はどんどん立派になっていきます。ところがもうはじけてしまうほどたくさんの動物たちが入ったところで、おじいさんが落とした手袋を拾いに戻ってきます。
ウクライナ民話が生き生きと描かれている絵本です。ふかふかで暖かそうな手袋に潜り込む動物たちが愛らしいですし、何より表紙のふち飾り絵もとてもかわいいです。また、内田莉莎子さんの訳で、動物たちのキャラクターが盛り込まれ、イメージが広がります。冬に手に取りたくなる、大好きな絵本です。
三冊目は、『つみきのいえ』(※3)です。ひとりのおじいさんが住んでいるのは海の上にある変わった家です。水がどんどん上に上がってくるたびに、沈んだ家の上に新しい家を作り続けます。そのため、積み木を積み上げたような家に住んでいるのでした。
おばあさんを亡くし、独りぼっちで暮らすおじいさん。海の中に大工道具を落としてしまったことで、過去に住んでいた家に潜ることになります。潜るごとにおばあさんとの思い出が鮮やかによみがえってきます。
この絵本は、アカデミー短編アニメ賞を受賞したアニメーション映画「つみきのいえ」を加藤久仁生氏の絵と平田研也氏の文で改めて絵本化した作品です。優しい色味のイラストと、しみじみと思い出を語るストーリーがとても胸を打つ絵本です。ぜひ、大人の方におすすめしたい一冊です。
さて、実はわが子たちも、学生生活を送るために、春に自宅を離れ、新しい家で暮らし始めます。私のようにめそめそすることはなさそうですが、慣れない生活であることは間違いありません。掃除も洗濯も料理もすべて自分たちでやらなくてはなりません。新しい友達や先生と出会い、新しいキャンパスで学びながら人生を謳歌するであろう彼らにとって、「帰ってきたらほっとする」と思ってもらえる家で、エールを送りたいと思っています。
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加藤久仁生 絵,平田研也 文,
白泉社,2008