皆様こんにちは。あっという間に春を駆け抜け、また暑い夏を迎えようとしていますが、いかがお過ごしでしょうか?
私の勤務する図書館は、築20年が経過し、空調設備の不具合が出てきてしまいました。目下、工事中にお借りする事務所へのお引越し準備をしております。このところの夏の暑さは、エアコンなしでは過ごせない状況です。大規模な工事になり、長く休館をしてしまうのですが、建物のメンテナンスをすることで長く使えるようになるそうです。空調と合わせて照明のLED化も実施する予定です。施設のお手入れで、利用者の皆さんが「また行きたい」と思っていただけたらうれしいです。
さて、今日は「どろぼう」をテーマに絵本を選んでみました。ニュースを見ていると胸が痛くなるような凶悪な犯罪が多く報道されています。その一方、絵本の中のどろぼうたちは、どこかかわいらしい、憎めないところもあります。そんなどろぼうたちを、紹介いたします。
1冊目に紹介するのは、どろぼうといったらこれ! の絵本、『すてきな三にんぐみ』(※1)です。皆さんもすぐに思いつく1冊ではないでしょうか?表紙にも描かれているのは、なんと、どろぼうの三人組。黒マントに黒い帽子、おどしの道具をもって出かけていっては、金銀宝石をうばって、ため込んでいます。そんな三人組が出会ったのは、みなしごのティファニーちゃん。ティファニーちゃんは三人組と一緒に行くことにします。三人組がどうして「すてき」なのかはそのあとのお話です。
全体を通して、どうしてどこかおどろおどろしいのかを考えてみたのですが、もしかすると三人組が言葉を発さないからかな、ということに行きつきました。この作品は全体に流れる少し怖い雰囲気がティファニーちゃんによって変化していく様子がとても微笑ましいです。
この作品は、25歳でフランスからアメリカに渡った作者アンゲラーにとっては最初の絵本です。私は大人になってからアンゲラーの作品と出会ったのですが、一目見たとたん惹きつけられました。渡米後、たくさんの作品を世に送り出しています。ぜひいろんなアンゲラー作品を手に取ってみてください。
2冊目は、『トルーシー・トルトルとトラ』(※2)です。主人公の女の子の名は「トルーシー・トルトル」。トルーシーのお父さんトビーは、なんと「おおどろぼう」。トルーシーはトビーに「どろぼうはダメなんだよ」と伝えますが、まったく意に介さず、どろぼうを続けます。ある日、二人は動物園に出かけますが、トビーは、いつものようにいろんなものを盗みます。怒ったトルーシーを加勢するのはなんと、トラでした。
明るい色味の表紙からは想像できないほど、極悪おおどろぼうのお父さん。しっかりもののトルーシーと、トラの活躍がとても爽快に描かれています。
3冊目は、『どろぼうがっこう』(※3)です。立派などろぼうになるために勉強する「どろぼうがっこう」。校長先生自ら、一流のどろぼうになるため、宿題を出しますが、誰一人校長先生を満足させられません。ある日、遠足という名のどろぼうをするために、大きな家を狙って入ると、そこに待っていたのは、驚きの場所でした。
この作品を手がけたのは、かこさとしさんです。子どもの目線で楽しいお話絵本や知識の絵本など、多くの作品を残されました。その中でも、この作品は、なんといっても時代劇がかった登場人物が魅力です。決してかわいくない生徒たちですが、校長先生から見ると「かわいい生徒たち」。先生と生徒のやり取りが軽妙で、思わずくすっと笑いがこぼれます。
この作品はシリーズになっています。ぜひこの続きもチェックしてみてはいかがでしょうか?
今思うと、アニメや小説の世界では「どろぼう」はなんとなく憧れられる存在だったり、かっこよかったりしませんか? 子どものころ見ていた「CAT’S EYE」や「ルパン三世」から始まり、今大人気の「名探偵コナン」の怪盗キッドなど、一流の泥棒であればあるほど人気がある気がします。
単に盗むことだけではなく、普段が描かれ、そのなかに美学といいますか、人を殺めるのではなく、あるべきところにあってほしい、とか、しかるべき人に持っていてほしいなど、なにか理由がある泥棒だからかもしれません。
「どろぼう」はすすめられることではありませんが、絵本の中の登場人物のエピソードとして触れ合ってみるのはいかがでしょうか?
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トミー=アンゲラー 作,
今江祥智 訳,
偕成社,2016