皆様こんにちは。令和6年能登半島地震により被災された皆様にお見舞い申し上げます。また、2月、寒い日が続きますね。私の住む地域は雪がほとんど降らず、たまに降る雪に子どもたちがはしゃいでいたことを思い出します。子どもにとっては宝物のような雪の日ですが、大人にとっては、道路の凍結や買い出しなど、いろいろと心配事も多くなります。私たちでさえ頭を抱える雪なのに、地域によっては、大変なご苦労をされているのではないでしょうか?ニュースなどで何十センチもの雪があっという間に降ってしまうことを知り、雪かきに追われている姿を拝見するたびに頭が下がります。
今回は「先生」をキーワードに絵本を選んでみました。子どもにとって先生との出会いはその後の人生に大きな影響を与えると思っています。私自身、先生に言いたいことが伝えられなかったり、逆に、親身になって将来を考えてくれたりと、先生との思い出は大人になっても残っています。
一冊目は、『ゆきがくれたおくりもの』(※1)です。舞台はロンドン。一晩にして大雪が降った次の日、学校はお休み……のはずが、登校してしまったのは生徒ダニーとトラッパー先生二人だけ。学校一勉強ができないダニーと学校一厳しいトラッパー先生の授業が始まります。最初はドキドキするのですが、読み進めるにつれてワクワクに変わっていきます。
二人だけの秘密の授業?! が、レベッカ・コップさんのかわいらしい絵で楽しさいっぱいに描かれています。特に雪だるまが並んでいるシーンが私のお気に入りです。ドキドキワクワクのなかにも孤独感がうかがえる場面もあり、いっそう感動的です。文章は、世界的に活躍している脚本家・映画監督でもあるリチャード・カーティスさんによるものです。ドラマティックなストーリー展開が繰り広げられるのも納得です。
二冊目は、『いつもちこくのおとこのこージョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』(※2)です。タイトルの通り、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは毎日遅刻してしまいます。でも、それにはちゃんとした理由があるのです。なんとかして学校に急いで行き、先生に理由をきちんと話すのですが、先生は信じてくれません。最後には、普段、彼の理由をうそだと言う先生が事件に巻き込まれます。
この本は、読み聞かせにも楽しい絵本です。先生が信じてくれない、というちょっとネガティブなストーリー展開だからこそ、ラストまで一気に引き込まれてしまいます。また、主人公の名前がとにかく長くて、先生が毎回フルネームを呼ぶのもクスッと笑いが出てしまいます。
バーニンガムさんのシンプルで優しいタッチの絵と、谷川俊太郎さんの手でリズミカルに訳された文がとても楽しい絵本です。
三冊目は、『てん』(※3)です。絵をかくのが苦手なワシテは、お絵かきの時間が終わっても何も書けずにいました。そこへ先生が登場します。そして、しるしをつけるようにワシテに伝えます。ワシテは真っ白な紙にめいっぱいの力で「てん」を描きました。先生はその後、サインを求めます。これがワシテの作品となったのでした。初めてこの絵本を読んだときにはすでに大人になっていた私ですが、まず最初の一歩を踏み出すことの大切さを教えてもらいました。とかく、上手でないからできない、とか、笑われるかもしれないからやらないとか、しない理由を言いたくなりがちです。ワシテに笑われないよう、ドキドキしながらも一歩を踏み出してみようと思える絵本です。
ピーター・レイノルズさんの絵は、とてもかわいらしいのですが、表情豊かに描かれていて、記憶に残ります。また、この本も谷川俊太郎さんによってリズミカルながらじんわり心に残る訳がされています。
私が小学生の頃、とにかく元気で、ひょうきんものの友達は、先生たちと仲が良く、話をしている姿をよく見かけました。一方、私は、前出したように、先生とうまく話せなかったり、孤独感を感じたりしていました。自分で一歩踏み出せばよかっただけだと今はわかりますが、当時の私にとっては大きな勇気が必要なことでした。
時代が変わった今は、子どもたちもたくさんの情報に触れる一方、他者とのリアルな関わりが少なくなってきていて、感情を表現する方法は多岐にわたっているように感じます。自分に自信が持てない、というお子さんにぜひ出会ってほしい本です。
本に登場する先生たちは、まだまだたくさんいらっしゃいます。皆さんのおすすめの先生たちがいたら、ぜひ教えてください。
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リチャード・カーティス 文
レベッカ・コップ 絵
ふしみみさを 訳
ポプラ社,2014