皆様こんにちは。早いもので、今年も終わりの月となりました。あんなに暑かった夏が嘘のように、冬に向かっているのを感じています。
思い返すと、今年はいろんなチャレンジをさせていただきました。この連載もそのひとつです。読んでいただけることに感謝しつつ、毎回楽しく書かせていただいています。ほかにも、講演の機会をいただいたり、シニア世代の方たちとのイベントのお手伝いをさせていただいたり。多くの出会いのきっかけをいただきました。長く感じたコロナ禍を乗り越えた今、リアルでのイベントができること、出会えることはやはり何よりもうれしく感じます。
さて、街に出てみると、あちらこちらでクリスマスのディスプレイが目に入るようになります。大きなクリスマスツリーや、キラキラ輝くイルミネーション、かわいらしいアドベントカレンダーなど、見ているだけでワクワクしてしまいます。
子どもから大人まで、なんとなくうきうきしてしまう。そんなクリスマスをテーマにした絵本はものすごくたくさんあります。その中でも、今回紹介するのは、「タイトルからではわからない、クリスマスにおススメの本」です。タイトルに「クリスマス」「サンタクロース」とは入っていないけれど、この時期に手に取りたい絵本3冊を選びました。
一冊目は、『ちいさなもみのき』(※1)です。「もみのき」はなんとなくクリスマスを感じるワードかもしれませんが、ご勘弁を。森のはずれの大きな木々から離れたところに立つ、一本の小さなもみのき。幾度も季節が移り変わり、七回目の冬を迎えたもみのきは、誰かと一緒にいたいと思うようになります。そんなある日、男の人がやってきて、もみのきを連れていったのは、小さな男の子の家でした。
季節の変化で時間の流れを感じつつ、クリスマスツリーとなったもみのきが抱く思いが描かれています。マーガレット・ワイズ・ブラウンさんの大ファンの私。最初にこの本を手にしたとき、感動したことを思い出します。また、バーバラ・クーニーさんの描くもみのきが、とてもかわいらしく、りりしく、色づかいがきれいなのも、お気に入りの理由の一つです。
図書館で働き始めたばかりのころ、クリスマスのおはなし会でこの本を紹介することになりました。この本には讃美歌を3曲歌うシーンがあり、楽譜と歌詞もついています。そこで、私がフルートを吹き(吹奏楽部出身なのです)、他のスタッフが歌を歌ってくれて、少しスペシャルなおはなし会を演出することができました。参加してくれたお子さんも、お母さんお父さんたちも楽しんでくれていたのが、とても印象的でした。
二冊目は、『くろうまブランキー』(※2)です。この本は、タイトルだけではきっとクリスマスの本だと思えないのではないでしょうか。
まっくろな馬ブランキーは、いじわるな主人のもとで働かされています。それでも一生懸命働き続けますが、年を取り、思うようにならないブランキーを主人はたたきます。倒れたブランキーのもとに現れたのはサンタクロースでした。
ブランキーがどうなってしまうのかとドキドキハラハラしつつ、サンタクロースが登場したときのほっとする気持ち。読後に改めて本の表紙を開いてみてほしいなと思います。50年以上前に描かれた本ですが、ぜひ読み継いでほしいクリスマスの絵本の一冊です。
三冊目は、『ぐりとぐらのおきゃくさま』(※3)です。この本は、『ぐりとぐら』(※4)シリーズの1冊です。季節は冬。雪合戦をしていたぐりとぐらが見つけたのは大きな足跡。ぐりとぐらのかわいらしい掛け合いを楽しみながら、誰の足跡なのかたどっていく冒険はワクワクします。ぐりとぐらのおうちの中を見ることができるのも楽しみの一つですね。
いかがでしたでしょうか?冬の絵本のラインナップなので、寒そうな場面が多いはずなのに、なぜか読むと心がほっこりあたたかくなるかもしれません。なんとなく気ぜわしさを感じる12月、お出かけもいいですが、時におうちでゆっくり、こんな絵本たちでクリスマスを味わってみませんか?
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マーガレット・ワイズ・ブラウン 作,
バーバラ・クーニー 絵,
福音館書店,1993