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狸穴通信

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峠ものがたり
久和勝美著 定価1300円+税(叢文社)

峠ものがたり表紙

◆峠の先には必ず下り坂があり、坂の先には必ず未知の時間が待っている。そしてその先に何があるかを知ることの出来ないのが人生なのだ」−-−-劇作家の高橋玄洋氏のオビ文である。

◆あの峠を越えなかったら人生は違っていたのか。運から見放された4人のものがたり。キリシタンが鼻をそがれたという「花霧峠」。名士となった男は、欲望を抑える術を知らずに……。淫売宿があった「暗闇峠」。夜の峠を越え、島から逃げ出した女は、いつしか教授夫人となったが、妬みにかられ……。女郎花が群生する「花咲峠」。嫁は義母の仕打ちに堪え兼ねていた。ある日義母が行方不明となり……。波が花のように打ち寄せるという「いさく峠」で育った男は成功を掴みかけていた。ある日幼馴染と再会し……。

◆本書のなかで描かれている人生の四つの峠。「あの峠を越えて行った者で幸せになった者は一人もいない。ただ、運、不運を呼ぶのは本人自身である」。こうした言葉で始まるストーリー。いずれも戻れない人生という峠を誰もが命のある限り自分の足で越えていく。読者それぞれの人生とも重ね合わせていくオムニバス物語である。


就職先はネジ屋です
上野 歩著 定価730円+税(小学館)

就職先はネジ屋です表紙 プルーフ版と文庫

◆前著『キリの理容師』は理容業界をテーマにされ話題となったが、今回は『削り屋』『わたし。型屋の社長になります』などにつづく「モノづくり小説」だ。

◆就活中のユウ(三輪勇)は、第一志望の商社を最終面接で落とされた。その後、母親が社長を務めるミツワネジ(従業員130名)に正式エントリーして、入社することになった。海外で働きたいと考えるユウにとって、ミツワネジにフィリピン支社があることが大きな志望動機だった。

◆営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかり。直接メーカーに対して提案型の営業もしたいと思い始めたユウは飛び込みでメーカーを回り始めるが……。「ネジ」と真剣に向き合い、こんなにも熱く働く人たちがいる。ユウの挑戦する姿は、大学生や就活生、そして若手社員にも元気・勇気・やる気をあたえてくれそう。

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