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連載エッセイ ROCK司書のセンチメンタル・ライブラリー 若園義彦

第28回 <ハンバーガーが好き!>

挿絵

 美味しいハンバーガーが食べたい!そう思ったとき、あなたの脳内で再現、または想像される味はどんなものだろうか?フレッシュなトマトの甘み?ほどよくとろけた濃厚なチーズ?カリっと焼かれた香ばしいバンズ?いやいや、それらももちろんいいのだけれど、やはり牛肉の食感と滴る肉汁ではないだろうか。
 ここでいう「ハンバーガー」とは(主に牛)挽き肉でつくったパテを、パン(ここではバンズと呼ぶ)ではさんだ料理のこと、としておく。パンではさんでないものは「ハンバーグ」とする。念のため。
 トマトやレタスやタマネギやアボカドやピクルスやチーズやケチャップやマスタードやパンを美味しく食べたい、と思ったとき、特にハンバーガーを選ぶ必要はない。他にいろいろと選択肢はある。「ハンバーガーを食べたい」というのは「肉を食べたい」ということだ。
 しかし、牛挽き肉を美味しく食べるのだったらハンバーグだってある。メンチカツもいい。ハンバーグ定食やメンチカツ弁当というチョイスもある。それはそうなのだけれど、野菜やチーズと牛肉をバンズではさんで頬張る楽しさ、その混然一体となった美味しさには、他の料理では味わえない独特のものがある。
 美味しいハンバーガーを食べると、最初は牛肉の美味しさに圧倒され、他の素材に気が回らないことが多いのだけれど、ゆっくり、じっくり食べていくと(だからね、なるべく大きい方がいいんです…)主役の肉の美味しさを引きだすためのいろいろな工夫に気づかされる。野菜など、肉以外の食材のチョイス、焼き方・はさみ方、オリジナルソース、などなど。なかでも重要なのはバンズである。
 肉の旨味を受け止め、他の食材とのハーモニーをまとめ上げる、ハンバーガーにとって欠かせない要素。このバンズの良し悪しがハンバーガー全体の美味しさを左右するのだ。美味しいハンバーガーに出会ったら、ちょっと冷静になって(すでに冷静?それは失礼しました。私、食事中はあまり冷静になれないもので…)バンズだけ食べてみてほしい。きっとそのバンズ自体が美味しいはずである。
 自分でハンバーガーをつくるときは、さらにわかりやすい。美味しい、ハンバーガー向きの、さらに自分好みのバンズを使うと、満足度が違う。いろいろな種類のバンズで食べ比べてみるのも面白い。え、そんなにたくさんのハンバーガー食べられないよ、ですって?では手伝いに行きましょうか…。
 さて。図書館に行こう、と思うとき、人が求めているのは何だろうか。状況によるし、人それぞれではあるだろうけれど、基本的には「資料、情報」のために、ということではないか。しかし単に情報を得るため、ということだったら図書館以外にも選択肢はある。図書館で資料を使ってもらう、情報に出会ってもらうために、「肉以外の要素」も充実させていくことが必要になるだろう。
 「図書館というハンバーガー」のバンズとは何か?「人」だと思いたい。図書館員というバンズが美味しければ、図書館というハンバーガーも美味しくなる。AIが発達したら人はハンバーグだけを食べるようになり、ハンバーガーを食べるのをやめる、ということもないと思うのだけれどどうだろうか。
 そんなことを考えているうちにパテの準備ができた。次はバンズの焼き具合をチェックしなければならないので、今回はこのへんで失礼させていただく。

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