back number

連載エッセイ ROCK司書のセンチメンタル・ライブラリー 若園義彦

第30回 <読書感想……>

 9月。今年、2020年の夏休みは異例なものになったが、例年のことで言えば、9月最初の平日は(地域などによって違いはあるが)「小学生が眠い目をこすっている率」が最も高い日になるのではないか。夏休みの宿題は計画的に進められればそれに越したことはないが、もちろんそう簡単には行かない。

 夏休みの宿題の中で難関と思われるもののひとつが読書感想文だ。本を読んで感想を書く。これがなかなか難しい。読書にも作文にも慣れていない小学生にはなおさらだ。大人になってからも「読書感想文が得意だった」という人間には会ったことがない。会ったことはないけれども、コンクールの入賞作などを読むととても上手に書かれているので、得意な人はいないわけではないみたいだ。
 「苦手派」からは「感想文を書くのが嫌で、子どもたちが読書嫌いになったりしたら残念」という意見を聞くことがある。確かに一理あるとは思うけれど、そう言っている方はたいてい「感想文は嫌いだったけど、本は大好きになった」わけで、まあそんなに心配したものでもないのかな…。
 「文章を読み、それについて何らかの情報を文章で人に伝えるスキル」というのは、学校を卒業しても有効な場面がありそうな気がするので、まあなんとか、読書嫌いにならないような感じでやっていっていただけるとよい。学校の教育が「実用的」なものに傾きすぎることへの疑問もあるわけだが、そのあたりを「好きな本を読んで」ということでバランスをとれるかも、と思ったりもする。

挿絵

 読書感想文があれば読書感想画なんてものもある。役立つスキル、という意味ではこちらも重要と思われる「文章を読み、それについて何らかの情報を視覚的要素で人に伝えるスキル」を涵養できるのかどうか。自分の小学校時(感想画は宿題にはなっていなかった)の「図工」の成績を思い出すと背筋が凍るような思いだけれど、絵より作文が苦手な子どもには「読書感想文」が地獄の苦しみなのかもしれない。そう考えると「人にはそれぞれ得手不得手がある」的な教訓のために、読書の感想をいろいろな形で表現してもらうのは、宿題として意義があるかもしれない。
 たとえば「読書感想歌」というのはどうだろうか。読んだ本の感想を作詞作曲して、みんなの前で歌う。いやあ、恐ろしい。詞はなし、インスツルメンタルなんてのもいい。楽器は自由。恐ろしいことに変わりはないが。
 またあるときは「読書感想ダンス」の課題。ヒップホップあり、コンテンポラリーあり、ジャズあり、オリジナルなら何でもあり。見る方に「何の本の感想ダンスか」考えさせるのも勉強になりそうだ。
 今どきのスキルで言えば「読書感想動画」もいいかもしれない。見慣れた形式のものならば、抵抗なく表現できるかもしれない。
 これぐらい並べて「さあどれでもいいから、とにかく読んだ本の感想を」とすれば、なんとか本を読むきっかけになるのではないか…。

 特に夏、子どもたちにはある程度まとまった休みを存分に楽しんで、できれば本なんかも読んで、休みの最終日には終わらない宿題で存分に苦しんで(?)もらえるような、そんな日々が戻ってくることを願う。

Copyright (C) yukensha All Rights Reserved.

design テンプレート