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近代中国語会話書の日中対照研究
- 日本で初めて北京官話が教授された明治9年、それから数多くの中国語関係書が日本で出版された。本書は明治期の日本で出版された中国語会話書を調査資料に、能願動詞、兼語文、助詞”了”、程度表現、移動表現における日中対照研究を行ったものである。
金 敬玲(キン ケイレイ)著
A5判上製本 202ページ
税別 4,000円
ISBN978-4-907126-72-8
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〈目 次〉
序章 近代日本の中国語教育と中国語教育関連書籍
1.研究背景
2.研究対象と研究目的
3.先行研究
3.1 中国語を対象とした研究
3.2 日本語を対象とした研究
4.本研究の構成
5.本研究における用語と表記
5.1 本研究における用語
5.2 本研究における表記
第一部
第1章 『清語会話案内』における能願動詞
1.はじめに
2.本章の調査対象
3. 願望や意志を表すもの
3.1 能願動詞“要”に対応する日本語の表現形式
3.2 能願動詞“敢”及びその否定である“不敢”に対応する日本語の表現形式
3.3 “不肯”に対応する日本語の表現形式
4. 可能・可能性を表すもの
4.1 能願動詞“会”及びその否定である“不会”に対応する日本語の表現形式
4.2 能願動詞“能”及びその否定である“不能”に対応する日本語の表現形式
4.3 能願動詞“可以”に対応する日本語の表現形式
5. 必要性を表すもの
5.1 “맡当”“壇맡”“壇当”“맡”に対応する日本語の表現形式
5.2 能願動詞“得”に対応する日本語の表現形式
5.3 能願動詞“要”に対応する日本語の表現形式
5.4 以上のような日本語の特定の表現形式との対応訳が見られなかった中国語表現
6. 禁止・阻止を表すもの
6.1 能願動詞“別”に対応する日本語の表現形式
6.2 能願動詞“不要”に対応する日本語の表現形式
6.3 能願動詞“不用”に対応する日本語の表現形式
6.4 以上のような日本語の特定の表現形式との対応訳が見られなかった文
7.おわりに
第2章 『清語会話案内』における兼語文
1.はじめに
2.先行研究
2.1 中国語の場合
2.2 日本語の場合
3.『清語会話案内』における「兼語文」
3.1 使令意味類の兼語文
3.2 使令動詞“못”における使令意味類の兼語文
3.3 使令動詞“싻”における使令意味類の兼語文
3.4 使令動詞“헝”における使令意味類の兼語文
3.5 使令動詞“托”における使令意味類の兼語文
3.6 その他のV1における使令意味類の兼語文
4. 使役表現と受身表現に訳された兼語文
4.1 受身表現に訳した兼語文の主体と客体
4.2 使役表現に訳した兼語文の主体と客体
4.3 主体と客体のまとめ
5.おわりに
第3章 『清語会話案内』における“了”
1. はじめに
2. 本章の調査対象
3. 本章における“了
4. 『清語会話案内』における“了”の出現頻度
5. 『清語』における動態助詞“了₁”
6. 『清語』における語気助詞“了₂”
6.1 文末の“了₂”と対応する日本語表現
6.2 分文末の“了₂”と対応する日本語表現
7. 『清語』における「A了₁B了₂」
8. おわりに
第二部
第4章 明治期の中国語関係書における“会”…
1.はじめに
2.“会”に関する先行研究
3.本章における調査資料
4.「文法書」における“会”
5.「教科書」における“会”
6.「会話書」における“会”
7.「読本」における“会”
8.明治期の中国語関係書における“会”
9.おわりに
第三部
第5章 近代中国語会話書における程度副詞の日中対照研究―明治後期を中心に―
1.はじめに
2.先行研究
3.本章における調査対象と方法
4.『速成日清会話独修』における程度副詞
5.『日清会話篇』における程度副詞
6.『実用日清会話独修』における程度副詞
7.『日清会話独習』における程度副詞
8.『日清会話』における程度副詞
9.『日清会話語言類集』における程度副詞
10.近代中国語会話書における程度副詞
11.おわりに
第6章 近代中国語関係書とその和訳書における程度表現
1.はじめに
2.日本語訳文を掲げる中国語会話書における程度副詞の出現頻度
3.中国語文法書における程度副詞
4.本章における程度副詞
5.中国語会話書とその和訳書における程度表現
5.1 『官話指南』と『官話指南総訳』における程度表現
5.2 『官話急就篇』と『官話急就篇詳訳』における程度副詞
6.中国語会話書と日本語会話教科書における程度表現
6.1 『新華言集 : 普通官話』における中国語の程度表現
6.2 『漢訳日本語会話教科書』における日本語の程度表現
7.おわりに
第四部
第7章 近代中国語会話書における主体移動表現の日中対照研究…
1.はじめに
2.先行研究
3.調査資料
4.移動に関わる各表現
5.『華語跬歩』における移動表現
5.1 移動動詞
5.2 動詞以外の経路表現
6.『華語跬歩総訳』における移動表現
6.1 移動動詞
6.2 後置詞
7. 日中両言語の主体移動表現における移動動詞の使用頻度
8.おわりに
第8章 近代中国語会話書における客体移動表現の日中対照研究…
1.はじめに
2.本章の調査資料
3.客体移動事象の下位分類
4.随伴運搬型の客体移動表現
5.継続操作型の客体移動表現
6.開始時起動型の客体移動表現
7.日中両言語の客体移動事象に関する表現
8.おわりに
終 章 近代中国語会話書の日中対照研究と今後の展望
1.本研究のまとめ
2.今後の展望
参考文献
図表一覧
初出
謝辞
金 敬玲(キン ケイレイ)
中国出身、中国朝鮮族。1991 年生まれ。
遼寧大学(中国)卒業後来日。
東京学芸大学大学院教育学研究科国語教育専攻にて修士(教育学)学位取得。
國學院大學大学院文学研究科文学専攻にて博士(文学)学位取得。
論文に「明治期の中国語関係書における“会”について(『東アジア文化研究』第9号)」、「近代日本の中国語会話書における程度副詞の日中対照研究-明治後期を中心に―(『論究日本近代語』第3集)」等がある。