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本屋と図書館の間にあるもの
- 元塩尻市立図書館長 内野安彦が敬愛してやまなかった、元さわや書店本店店長伊藤清彦との対談のすべてがここに!
- 対談から2ヶ月後、伊藤清彦氏が急逝――
伝説の書店員、伊藤清彦の最後の言葉は本屋だけではなく、図書館へも贈られた。本屋と図書館は敵なんかじゃないのだ、と。
- 本屋と図書館の間を行ったり来たり……
清彦×安彦=ヒコヒコ対談の2日間
- 『岩手日報』に好評連載「いわての風」(伊藤清彦氏執筆)も収録
伊藤 清彦 著
内野 安彦 著
A5判 ソフトカバー 285ページ
税別 2,200円
ISBN978-4-907126-41-4
ご購入について
〈目 次〉
第1部 書店と図書館の間にあるもの
- Ⅰ
- 自己紹介から
- 地域資料の棚に込められた図書館員の矜持
- 書店員の99%は図書館は書店の敵だと考えてる
- Ⅱ
- 雑誌の発行部数を考慮した保存年限の検討を
- 空き校舎を活かした図書館資料の保存の可能性
- 図書館の資料費予算を増やすには
- 図書館のポテンシャルを首長に伝える
- 書店で一番大事なのは入れる作業じゃなく削る作業
- 仮定と検証を毎日やることで売り場を変えていく
- 市民のお宝も図書館利用を促す大きなアイテムに
- 塩尻の「本の寺子屋」誕生秘話
- 郷土資料としても一級品の漫画
- Ⅲ
- 図書館長として心がけたこと
- 「図書館と出版」の問題を考える
- 社会教育費の中の図書館費
- 出版社、作家、読者、それらを結びつける図書館
- 書店と図書館の連携の可能性
- 地方のアドバンテージを活かす
- 借りられなくなった近代作家
- Ⅳ
- よい本屋の条件
- 書店員にはわかりにくい図書館員の世界
- 書店の右肩上がりの方法論の終焉
- 出版物の新たな流通ルートの模索
- 本は読むだけじゃない、本が醸し出す空間も魅力
- 本を介して人と人を結ぶ
第2部 「いわての風」
- 〝までい〟に生きる――大震災で生活見直す
- 小さな書店は「毛細血管」――地域に根ざし生きる
- 『コミックいわて』の新鮮な魅力――絵の中に息づく感性
- 書店は「本を伝える場所」――熱い思い あってこそ
- 小説『天国の本屋』ヒット――「読書仲間」が後押し
- 書店と図書館の関係性――補完し合うと信じる
- 郷土史伝える閉校記念誌――先達の歩み書籍にも
- 本の世界を人の心に届ける――図書館が『案内人』に
- 混迷深める出版業界――買うより借りて読む
- 書店と違う図書館の役割――出版物を後世に残す
- 書店と図書館の違い――話題の本は棚にない
- 次の本との出合い方――流れや系統を知ろう
- 本をめぐる撤退戦――時代との別れ寂しく
- 書籍文化の戦後70年――活字への熱があった
- めぐり合う一冊――そこここにある「縁」
- 「村に生きる」を伝える本――厳しい自然、命の尊さ
- 写真集は語る――時代が刻んだ光と影
- 出版不況と図書館――読者獲得は工夫次第
- 出版バブル期に相次いだ絶版――郷土本の入手難しく
- 「線型」読書のススメ――一冊から広がる世界
- 感傷的な秋には詩集を――文学で季節感を演出
- 〝本屋さん〟を取り巻く現状――「生命線」崩壊で苦闘
- 消えていく小出版社――多様性を失う危機感
- アマゾンの書籍ネット販売台頭――変容強いられる書店
- 喪失感とどう向き合うか――「悲哀の仕事」を営む
- 本を巡る「別れ」と「卒業」――大切な人たちを思う
- 大人に薦める闇鍋的な読書――変化試すきっかけに
- 色づく柿にこだわり――心に染みる本の影響
- 豊かな本へ導く灯台
~師匠・伊藤清彦さんをしのんで~ 田口幹人
第3部 追悼 伊藤清彦さん
- 「本先案内人」伊藤清彦さんを悼む 工藤 巧
- 本に関わる人達の思いや苦労を知っていた方 伊藤和代
あとがき
- 石川靖子
- 「いわての風」本文中で紹介された書籍一覧
伊藤清彦(いとう きよひこ)
1954年岩手県一関市生まれ。1982年山下書店本店にパートで入社。87年本店副店長(社員)。89年町田店店長、91年3月山下書店退職。91年7月さわや書店入社。92年1月さわや書店本店店長。2008年10月さわや書店退職。2012年4月一関市立大東図書館館長。2013年4月から一関市立一関図書館副館長。著書に『盛岡さわや書店奮戦記』がある。2020年2月17日逝去。
内野安彦(うちの やすひこ)
1956年茨城県鹿島町生まれ。1979年鹿島町役場(現鹿嶋市役所)入所。2007年4月塩尻市役所入所。図書館長として新館開館準備を指揮。2010年7月に新館開館。2012年3月退職。現在、同志社大学大学院嘱託講師。筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程中退。著書に『だから図書館めぐりはやめられない』『図書館はラビリンス』『図書館長論の試み』『図書館はまちのたからもの』『クルマの図書館コレクション』『スローライフの停留所』『クルマの本箱』等多数。
第1部座談会の進行 石川靖子(いしかわ やすこ)
ローカルな司書。子どもたちにとっては読み聞かせのいしかわさん。
秋田県横手市生まれ。高校卒業後、進学のため上京し就職。図書館とは無縁の生活を楽しむ。10年間の会社員生活に別れを告げ、帰郷するやいなや図書館の沼にハマる。縁あって図書館員となり、現在は横手市立平鹿図書館で働く。
日本図書館協会会員・図書館問題研究会会員・Library of the Yearの選考委員も少々。