既刊本のご案内
ヘーゲル『精神現象学』の世界
- 難しいという定評があるヘーゲルの『精神現象学』を、約10年を費やしてわかりやすく翻訳した意欲作。
- 夏目漱石も大学時代にヘーゲルの『精神現象学』を原文で読み『老子の哲学』という論文を書いた。小説『三四郎』の中にも「余程ヘーゲルの好きな男と見える」と述懐する個所もある。(本書「『精神現象学』の著者 ヘーゲル 」より抜粋)
溝口龍一郎著
A5判上製本 243ページ
税別 3,000円
ISBN978-4-907126-16-2
ご購入について
<目 次>より
- 『精神現象学』の著者 ヘーゲル
- はじめに
- 凡例
- 序論
- 緒論
第一章 意識
- 一、感覚的確信
- (一)自我(知)と対象
- (二)感覚的確信の真理
- (三)知と対象の普遍性
- (四)知覚の登場
- 二、知覚
- (一)知覚の原理
- (二)物
- (三)知覚の経験
- (四)反省する知覚
- (五)知覚から悟性へ
- 三、 悟性
- (一)力
- (二)内なるもの(本質)
- (三)現象
- (四)両力の遊戯
- (五)力の法則
- (六)内的区別(区別でない区別)
- (七)自己意識の登場
第二章 自己意識
- 一、 意識を対象とする意識
- 二、 欲望する自己意識
- 三、 承認を求める自己意識
- 四、 主人と召使
- 五、 召使の自立
- 六、 思考する意識
- 七、 ストア主義
- 八、 スケプシス主義
- 九、 不幸な意識
- 十、 不変なものの形態化
- 十一、不変なものと変化するものとの統一
- 十二、純粋意識
- 十三、欲望と感謝
- 十四、個別的意識の自覚(理性の登場)
第三章 理性
- 一、意識の実在化としての現実の世界
- 二、観察する理性
- (一)法則
- (二)有機体
- (三)必然性
- 三、 行為する理性
- (一)人倫の国
- (二)快楽と必然性 (運命)
- (三)心の法則と世間
- (四)善と個別性
- (五)目的の現実化
- (六)仕事(作品)
- (七)「事そのもの」 精神の登場
第四章 精神
- 一、古代ギリシャの世界
- (一)真実な精神・人倫
- a、人間の掟
- b、神々の掟
- c、家族
- d、二つの掟の関係
- (二)人倫的行動
- a、人倫的秩序と個人
- b、行為と罪
- c、共同体の崩壊
- 二、古代ローマの世界
- (一)孤立化した個人
- (二)個人と対立する世界
- 三、近代ヨーロッパの世界
- (一)孤立的個人からの離脱
- (二)疎外と教養
- (三)国家権力
- (四)財富
- (五)疎外された精神の世界
- a、純粋意識の世界
- b、三位一体論
- c、純粋洞察と信仰
- d、純粋洞察の完成
- e、理神論と唯物論
- f、有用性
- g、有用性から絶対自由へ
- h、絶対自由
- i、絶対自由のテロリズム
- j、絶対自由のアウフヘーベン
- k、道徳的精神の登場
- (六)自分自身を確信している精神
- a、道徳的世界観
- b、良心
- c、良心の本質
- d、単一の義務
- e、純粋義務の実現
- f、承認の場(純粋義務)
- g、言葉
- h、断言
- i、行動する良心の悪
- j、判断する良心の悪
- k、行動の特殊性
- l、良心の告白
- m、良心の対立
- n、美しい魂
- o、和解と承認
- p、「絶対精神」(絶対知)の登場
第五章 絶対知
- 一、絶対知の本性
- 二、精神の生成の歴史
あとがき
参考文献
著者 溝口龍一郎(みぞぐち りゅういちろう)
1941年東京生まれ。九州大学法学部在学中は、本命の法解釈学よりも哲学や思想の世界に関心をもち、ヘーゲル、マルクス、ドストエーフスキーなどを好んで読む。卒業後は、公務員として仕事をする傍ら、ヘーゲルの作品に親しみ、10年近くの歳月を費やして『精神現象学』を翻訳した。著書に『リーダーの精神』(郵研社)などがある。